ナナシ ~ナくしたナにかのさがシかた~ 1 ヤングキングコミックス
漫画:片山愁
原作:藤野晴海
出版社:少年画報社
人と接する事が苦手なハル(フジノ ハルミ)はお調子者で不思議な力を持った友人ナナシ(ナナシマ キョウスケ)との出会いにより、怪奇で不思議な体験をする事になります。
登場人物
ハル(フジノ ハルミ)
中学生男子
ナナシと出会い触発されたのか不思議なモノが視える様になった
ナナシ(ナナシマ キョウスケ)
中学生男子
お調子者で惚れっぽい性格。
視る力を持ちオカルトへの造詣も深い。
時折、狂気じみた一面を見せる。
アキヤマ
中学生女子
ハルが想いを寄せる少女。
あらすじ
中学時代、ハルはナナシという不思議な力を持った人物と出会う。
彼との出会いはハルの心に、喜びや悲しみ、恐怖と後悔、様々な感情を巻き起こす。
これはもういない友人へのハルの懺悔と追想の物語。
ある時、ハルはナナシからちょっと付き合ってくれと、一生のお願いより少しランクを下げたレベルで懇願される。
何かと思えば、美人のセンパイに告白したいようだ。
ナナシは惚れっぽく、この前は隣のクラスの女子がいいと言っていた筈だ。
話を聞くと、キャラクターの付いた便箋を取り出す。
ラブレターをセンパイの机に忍ばせる気らしい。
ため息を吐きつつそれに付き合うと、先輩の机にはカビたパンが詰め込まれていた。
清楚な美人というルックスとのギャップにショックを受けナナシは落ち込む。
肩を落とし野の花を摘むナナシにハルは慰めの言葉を掛けた。
そんなハルにナナシは薄っすらと涙をにじませ、自分の事をどれぐらい好きかと尋ねる。
好きの意味を考え、血の気の引いたハルは「ケセランパサラン」よりはと口にする。
真面目に答えろと手を出したナナシに応戦していると何者かに頭を叩かれた。
彼と付き合う様になってからこういう不思議な事がタマに起きる。
二人はケンカを止めその何かにアピールするように仲直りをした。
アピールも終わり、帰ろうと言ったハルにナナシが寄り道を提案する。
向かった先は踏切だった。
その踏切の前、セーラー服の少女が立っている。
自分たちは夏服だというのにその少女は冬服で、何より彼女の体は薄っすらと透けて後ろの景色が覗いている。
ナナシはその少女に「もう十分」と声をかけた。
そして苦しいのもうやめなよと、手にした野花の花束を差し出す。
少女はその花を受け取り、なにか呟く。
ハルにはそれが「ありがとう」と言っているように見えた。
以来、その踏切で彼女の姿は見ていない。
感想
片山さんが以前描かれていた師匠シリーズは主役の二人が大学生という事もあり、案内役の師匠に対して案内されるウニも驚き恐怖はしますが、ある程度大人な対応をしています。
変わって本作では主役の二人が中学生という事で、反応や感情の発露が激しく初々しい感じがします。
あらすじで書いた第一話目では、ナナシは怪異に対して優しい対応をしていますが、これ以降は基本的にクールで突き放した描写が多くなります。
それは彼が優しい事への裏返しの様に感じました。
深く関わってしまえばそれにより自身が傷つき耐えられない。
その事への防御反応の様に感じます。
まとめ
師匠シリーズに引き続きナナシシリーズの漫画化という事で、こういった話が大好きな身としては嬉しい限りです。
漫画になるとぼんやりと想像していた風景などが焦点を結び目の前に映し出されます。
それは勿論自分の想像とは違うのですが、キャラクターが生き生きと動き回る様子を見るのはとても楽しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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