漫画完結作品

豊作でござる!メジロ殿 第一巻 登場人物・あらすじ・感想

投稿日:2019年9月5日 更新日:

稲穂
豊作でござる!メジロ殿 1 SPコミックス

著:ちさかあや
シナリオ:原恵一郎
出版社:リイド社

藩の農政を司る郡奉行「目白逸之輔(めじろ いちのすけ)」が、農村で起こる様々な問題に、農書(農業の栽培技術等を記した書物)から得た知識を用い、解決を試みる江戸時代における農業技術をテーマにした作品です。

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主要登場人物

目白逸之輔(めじろ いちのすけ)
郡奉行(藩の農政を司る役職)、農書マニア、眼鏡男子
郡奉行の仕事は検地に収穫量の産出や農村の状況把握、改善指導等。
農村からの年貢が藩の財政を左右するため、収穫量の増減は非常に重要だと考えられるがメジロは小柄でオタク気質な所があるので、藩では軽んじられる事も…。

善波(ぜんば)
メジロの部下
農書の編纂を優先しがちなメジロを窘める事もある。
過去にメジロに救われた事があるようだ。

各話あらすじ

水位標と兄弟でござる!
収穫量が年々落ちている朝比奈村。
三年前に名主の立花勘助(たちばな かんすけ)が亡くなり、息子の惣一が跡を引き継いだ。
部下の善波は若すぎたのではとメジロに言うが、彼には惣一に問題があるとは思えなかった。

メジロは実際に朝比奈村に赴き村で何が起きているのか調査を開始する。

白穂と生き死人でござる!
村の検地に訪れたメジロと善波の二人。
この村は田畑も順調なようで長の顔も明るい。
しかし、山の斜面に作った田だけは上手くいっていない様子だ。

その田は、村人が言う所の生き死人、元侍の流れ者に任せているらしい。
農業の専門家である村人でもあの田では上手くいかなかった。
気になったメジロは元侍を訪ねる。
侍の田の稲は中身のない白穂病だった。

二つの月でござる!
メジロに呼び出された善波が奉行所の部屋を訪ねると、メジロは暗く沈んでいた。
視察に訪れた農村で出会った美女が詠んだ歌の意味が分からず落ち込んでいたのだ。

歌はメジロも何度か訪れた事のある奉条村の事を詠んでいるという。
メジロ一人では解明出来ず歌に素養のある善波を部屋に呼んだのだった。

共存共栄でござる!
村にて農業指導を行っていたメジロ。
そんな時、村人が五平太という男を叱責していた。
どこか抜けた様子の五平太の畑を見ると作物が無作為に植えられている。

これはと呆れ、メジロは密植すると問題が起きると村人に話すが、五平太の畑は何故か他の村人の畑より収穫が多いらしい。
気になったメジロは五平太の家に泊まり込み畑を調べさせてもらう事にした。

不作の気配でござる!
山間の村を訪れたメジロ。
この村は五年前に土砂崩れが起き山間が塞がれた経緯のある村だ。

この村では柿の苗木を育てているが一つの場所を除き他の苗木は全て駄目になるという。
メジロは原因を探る為唯一駄目にならない畑の持ち主、茂助に話を聞くことにした。

“いかもの”と“かてもの”でござる!
掘り出し物を探して書店を訪れたメジロ。
彼はそこで顔を隠した男からある本を勧められる。
男が勧めた本には蛇や虫、ミミズなどの食し方が書かれていた。

男はまるでご馳走の事を語る様に蛇や蜘蛛、野草について話した。
メジロは男の頭巾の隙間から除く肌がひどく荒れている事に一抹の不安を覚えた。

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感想

メジロは農村に自身の知る農業技術を教えていますが逆に村人から教わる事も多く、戦国時代の名残で秘密主義も残る村もある中技術を人々に広め全体的な生産量の底上げを目指しているようです。

今回収録された話では六話目の“いかもの”のお話が印象に残りました。
“いかもの”食いとは所謂ゲテモノ食いで、普段口にしない虫や野草を食べる事です。

この本を執筆したのは侍です。
その侍は食通を気取ってで「いかもの食い」を勧めていたのでは無く、飢饉等の非常時に生き残る為自ら虫や蛇を喰らい、食べても安全な物を記していました。

彼が書いていたのはいわば食料不足時におけるサバイバル食についてでした。

食べる事は生きる事に直結しています。

この作品はフィクションですがメジロの様な農業技術を研究した人々や、実際農業に携わっていた人々の知恵と工夫が生産性を向上させ飢える事の無い世界を少しづつ作っていったのだと感じます。

世界ではまだまだ、貧困と飢えに苦しんでいる場所があります。
いずれ、世界中の人たちが飢える事無く生きれる様になればと願ってやみません。

まとめ

シナリオ担当の原恵一郎さんが実際に農業に携わっているので、物語にとてもリアリティがあります。
不作にも必ず理由がありそれを解決する為奔走するメジロの様子がとても楽しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

こちらの作品はpixivで第一話が無料でお読みいただけます。
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※イメージはpixabayのこうこう きちでん さんによる画像です。
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