未来放浪ガルディーン(1) 大熱血。
著:火浦功
画:出渕裕・ゆうきまさみ
出版社: 角川書店 角川スニーカー文庫
大異変によって文明が崩壊して、数百年。
かつては星の世界まで人類を押し上げた科学技術も大半が失われた。
地表の四分の三は荒野と化し、遺伝子異常を起こしたモンスターが人々の命を脅かしている。
家を興してから三百有余年、旧世界の文化の保護と伝承に力を注いできたフレイヤー家は滅亡の危機に瀕していた。
文明が一度崩壊した未来を舞台にした、なんでもありの冒険活劇第一弾。
あらすじや感想など
一話目 筋肉娘とセクシーボーイ 冒頭部分 あらすじ
マスコミ族と言われる集団が燃える城をカメラに捉えている。
燃えている城は伝統と格式を重んじ、文明が崩壊する以前の文化を後世に伝えるべく尽力してきたフレイヤ―家のものだ。
事の起こりは、一代で油売りから帝国の皇帝にのし上がった男。
ジョージ<無謀王>ヴァルマーがフレイヤ―家を配下に加えようとした事が原因だ。
武力を背景にフレイヤ―家に無理難題を吹っ掛け、最終的に全面戦争となったのだ。
重装歩兵三万、機動兵器三千のヴァルマーに対して、フレイヤ―家の守備兵力は千数百名。
日の出に攻め入られ、夜までもったのが奇跡だ。
今もフレイヤ―側は激しい抵抗を続けているが、機動兵器による戦闘は終了し、今は局所的に白兵戦が繰り広げられている。
マスコミ族のカメラが、フレイヤ―家の兵士の姿を捉えた。
フルメタルの装甲に身を包んだ兵士は、ヴァルマーの重装歩兵を叩ききった。
さらに一人、二人と切り伏せていく。
素晴らしい使い手だ。
マスコミ族のカメラが兵士にズームする、記章はフレイヤ―家の第一王子コロナ・フレイヤ―を示していた。
レポータのヤマモトが敵兵の剣を受け止め、つばぜり合いをしているコロナにマイクを向ける。
「コロナ王子、城が燃えておりますが、それについて何かコメントは?」
コロナはそれには答えずに、均衡が崩れたのを見計らい、敵の刃を左に受け流し、体を入れ替え右腕を一閃した。
刀の閃きが敵兵を屠る。
「いや~お見事!王子、今回のヴァルマー家の横暴な戦闘行為について一言お願いします。」
ヤマモトはマイクをむけてコメントを求めている。
コロナは何も言わない、肩のあたりが小刻みに震えている。
しかし、マスコミ族というのは何も気にしないというのを、伝統的にうけついでいる。
ヤマモトは更に言い募った。
「王子?あの~王子?」
「うるせ~~!!」
コロナの叫びとともにヤマモトの首が飛んだ。
首は飛びながらも笑顔のまま口を動かしている。
マスコミ族の鑑だ。
コロナはヘルメットを地面に叩き付けて叫ぶ。
「おれは、女だ!!」
感想
普通の物語であれば、城から脱出し落ち延びた先で仲間を集め、徐々に反撃の基盤を築いて行くのが常道でしょう。
しかしこの物語に常道等というものは存在しません。
ネタバレになりますが、コロナは一話目で父の仇であるヴァルマーを打ち取ってしまいます。
読んだ感想としては、「えッ!いいの!?それやっちゃって!?」でした。
まとめ
最近はチート物が多く書かれていますが、この作品が元祖と言っても良いのではないでしょうか。
行き当たりばったり、最短ルートを駆け抜け、運と実力で全てを切り抜ける。
コロナたちが強すぎて、敵であるはずの帝国軍の方が気の毒に思えてくる、そんなお話です。
未来放浪ガルディーン(1) 大熱血。 (角川スニーカー文庫)[Kindle版]