水蜻蛉の庭 ビームコミックス
著:須藤真澄
出版社:エンターブレイン
須藤真澄さんの描く、庶民的な暮らしの中に不思議を織り込んだ日常系ファンタジー。
庭先案内の続編第一弾。
名前は変わりましたが、内容的には庭先案内と同様一話読み切りの短編集です。
各話あらすじ
小さな緑のお友達
伝統的な暮らしをしている三人家族。
その中の一人、娘は魔神の所へ行くと家を出た。
彼女が乗って出かけたモノ。それは一匹の蛙だった。
彼らは小人だったのだ。
来訪者たち
オープンカーで縁結びの神様へ、お参りに出かけた帽子屋たち三人
彼らはその道中で宇宙船が墜落し、修理の為に神社に向かおうとしている宇宙人と出会う。
水の町 水の棚
外耳炎になり泳ぎに行けない孫娘。
彼女を不憫に思った祖父は、彼女を連れて盆支度に出かける。
御盆島綺譚
ルポライター志望の女性はいつもの様に遭難していた。
彼女は海ネッシーを探して、伝説のある海域へボートで乗り出したのだ。
だが流れ着いた島は、住民たちの話では沈みかけているという。
町工場の兵機
老夫婦が二人で営む町工場。
今日はそこへ孫を連れて息子が訪れていた。
母親は息子と普通に話すが、父親の方は孫には甘いが、息子とは反りが合わないようだ。
蓮華の花咲く頃
おねえちゃんの大学の文化祭に来た妹。
模擬店で買った両手いっぱいの食べ物に笑顔が溢れる。
一方で酷く調子の悪そうなおねえちゃん。
彼女の研究室の出し物はお化け屋敷だった。
姉の具合が悪いのは、そのお化け屋敷の祟りではないかと、妹は姉を連れ対決だとお化け屋敷に飛び込んだ。
十五の昼
十五まいり。十五歳になった者は、自分が生まれた場所へ向かい、その土地の神社にお参りするという風習だ。
少女の母は、遠く南国の島で少女を生んだ為、彼女は電車と船を乗り継いで島に向かう事になった。
白い客人(まろうど)
年越しの為、故郷に戻って来た浪人生。
彼女は親戚たちの計らいで、ある場所に向かう。
それはお祓いや口寄せで有名な、恐窪という場所だった。
いぬぐすり
一人暮らしの老婦人の家のチャイムが鳴る。
婦人が玄関に向かうと、そこにいたのは孫娘と、大きな行李を背負い帽子と和服を着た犬だった。
幻燈機0 幻の海
波打ち際で男が海を見ている。
彼の息子はこの海で亡くなった。
男の目には海で笑う息子の姿がはっきりと焼き付いていた。
幻燈機8
陶芸の村を久しぶりに訪れた老人。
陶工の男に、息子の話を振ると息子は出て行ったという。
どこかで生きていく道を見つけていればといいんだがと男は呟く。
そんな話を聞きながら老人が、村人が作った品を見ていると、全ての品に鳥の模様が入っている事に気付いた。
彼は隣の国で同じ模様の品を見た事があった。
感想
冒頭でも書いた様に、庭先案内の続編です。
内容に変わりはなく、なんというか、一回閉めた店が外装だけ変えて中身同じで再スタートといった感じでしょうか。
なんにしても、ファンとしては嬉しい限りです。
最後にこの巻で好きなセリフ
娘「あのね、お花が咲いたら、あたしその中で眠ってみたいんです。これはそのお礼なの!」
妖精「……約束しましょう」
まとめ
今回は幻燈機の老人の旅に出る前が描かれました。
カラーで描かれた海は、美しいだけに悲しかったです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。