漫画完結作品

チ。 ―地球の運動について― 第七集 登場人物・あらすじ・感想

投稿日:2022年4月8日 更新日:

活版印刷
チ。 ―地球の運動について― 第七集 ビッグコミックス

作・画:魚豊
出版社:小学館

過去の経験から神の存在を信じず、金を稼ぐ事で不安を払拭している放浪の民の少女、ドゥラカ。
彼女は腐敗したC教の司祭に脅された叔父に売られそうになった所を、C教正統派と対立している異端解放戦線の隊長、シュミット達に救われる。

そのシュミット達が隠したオグジーの手記を事前に読み、金の匂いを感じていたドゥラカは手記を焼き払い、自身の記憶と引き換えに同行を求める。
手記の内容を印刷し世に広めようとしていたシュミットは、止むなくドゥラカを組織長の元へと連れていくのだが……。

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登場人物

アッシュ
C教正統派の異端審問官
C教の正しさを信じ、異端者に厳しい拷問を課す。
地動説の調査で上司のダミアン司教から、娘ヨレンタを失ったと思い酒浸りの日々を送っていたノヴァクを紹介される

ボルコ
異端解放戦線の隊長
黒髪口顎鬚の男。
活版印刷機を入手した。

あらすじ

C教正統派の異端審問官、アッシュはシュミット達が起こした審問所の襲撃を追っていた。
彼は異端解放戦線が盗んだオグジーの手記に着目。
上司のダミアン司教に宇宙論に詳しい人物を尋ねる。

ダミアンは地動説に関わった者達の末路を思い出しながら、地動説を担当していた元異端審問官、ノヴァクをアッシュに紹介した。
酒におぼれたノヴァクはアッシュの要請を一度は断るが、娘を奪った地動説に終止符を打つ為、アッシュの後を追い捜査を始めた。

一方、異端解放戦線の組織長、ヨレンタとドゥラカは面会を果たしていた。
ヨレンタはドゥラカを家に招き入れると、椅子に座らせ喉元に剣を突き付けた。

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感想

今回はノヴァクが復帰し本格的に動き始めた異端審問官たちから始まり、ドゥラカとヨレンタ、逃亡と活版印刷、裏切りと脱出等が描かれました。

今回はその中でもドゥラカとヨレンタの対話が印象に残りました。
作中、ヨレンタが語った言葉。

何かを根拠(ぜんてい)にしないと理論を立てられない
人間理性の本質的限界として、思考すると常になんらかの権威(ぜんてい)が成り立ち、誰もその枠組みからは出られないのかもしれない。

というものについて。

作品のテーマ、天動説と地動説。
そこに存在している根拠と権威は常に神の存在が関係しています。

欧米と違い様々な神が存在し多様な宗教が信仰される日本ではあまりピンときませんが、神の教えが全ての基礎となっている世界で生まれ育った登場人物たちにとって、神は疑う事のない真実であり根拠と権威なのでしょう。

そんな世界で真理を追い求める人々。

オグジーの手記の内容をドゥラカから聞いたヨレンタが呟いた「文字は奇跡ですね」という言葉。
多くの人が関わり、求めた真理の行方が何処に向かうのか。

物語がどんな終わりを迎えるのか、とても楽しみです。

まとめ

天動説が信じられている世界で、正しさと美しさ、感動を求め地動説を研究した人々の物語も次巻で完結。
ラファウがフベルトから引き継ぎ、バニーデ、オグジー、ヨレンタと多くの人の手で紡がれ繋がってきた地動説。

それを託されたドゥラカ達は逃げきれるのか。
読むのが楽しみです。

こちらの作品はビッグコミックBROS.NETにて第1、2話が無料で閲覧いただけます。
作者の魚豊さんのTwitterはこちら

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※イメージはPixabayのstuxによる画像です。
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