キャンディ&シガレッツ 10 ヤンマガKC
著:井上智徳
出版社:講談社
アメリカ大統領候補、ガイル・スターマン。
銃規制を公約に掲げ大統領選に立候補した彼のマンハッタンでの街頭演説の最中、傭兵部隊テンタクルスに戻ったベルサがマシンガンを乱射、街は恐怖と混乱に陥った。
登場人物
松平銀次(まつだいら ぎんじ)
内閣総理大臣
禿げ頭で冴えない印象の老人。
SPだった雷蔵とは面識在り。
雷蔵いわく古狸。
トンプスン
アメリカ合衆国大統領
多分モデルはドナルド・トラ○プ。
ニューヨークに自分の名を冠したビルを所有している。
あらすじ
銃規制に対する演説の最中に起こった銃乱射事件。
それをベルサが引き起こしたなら、バックにいるのは傭兵部隊“黒い触手(テンタクルス)”を雇っているデーヴィッド・ファルコーネに違いなく、事件によって人気を伸ばした大統領候補のガイル・スターマンも新世界秩序と繋がっている事になる。
美晴は一度離れたにも関わらず、結局テンタクルスに戻ったベルサに対し冷たい怒りをあらわにする。
そんな美晴と雷蔵を乗せた車が向かったのは霞が関、国会議事堂。
今回のSS機構の仕事は日米首脳会談に合わせ渡米し、アメリカ大統領と極秘に接触せよという物だった。
感想
今回は前巻からの続き、ベルサによる銃乱射事件のその後から始まり、大統領との接触、ファルコーネ暗殺計画、スターマンと墓掘り人(グレイブデイカー)、ファルコーネの狙いとシャピロの告白等が収録されました。
その中でも今回はファルコーネの通貨発行権を持つ者の話が印象に残りました。
ファルコーネは金融危機を自作し、ユーロの様な全世界規模の統一通貨の制定を大統領に迫りました。
自国通貨建ての国債は財政破綻しないと言われています。
これは当然の事で自分でお金を発行出来る政府が、自分の作ったお金で借金(厳密には違う)をしても潰れる訳が無いという話です。
財政破綻したギリシャはユーロ建てで国債をしていた為、自国に通貨発行権が無く潰れてしまいました。
この作品ではそれを世界規模に広げる統一通貨を作り出そうとファルコーネは目論んでいました。
その統一通貨を発行出来るのは中央銀行、つまりファルコーネのみ。
そうなれば各国のリーダー達も彼の顔色を窺わざるを得なくなるでしょう。
民衆に選ばれた訳ではない企業家が政治に介入し、お金の力で政策を自分の都合のいい様に動かす。
読んでいるとなんだか現在の日本の状況を思い出しました。
まとめ
ファルコーネが仕掛けた金融危機、彼の陰謀に雷蔵たちはどう立ち向かうのか。
また傷付いたベルサはどうなるのか。次回も楽しみです。
この作品はヤングマガジン公式サイトにて無料で第一話がお読みいただけます。
作者の井上智徳さんのツイッターはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。