ノー・ガンズ・ライフ 6 ヤングジャンプコミックス
著:カラスマタスク
出版社:集英社
同胞殺しの十三番機(フェアラート ドライツェン)
十三の過去を知った鉄郎は、十三の様に自分の過去の傷を抱えたまま生きていく事は出来ないと十三に語りました。
鉄郎が下した決断とは…。
あらすじ
鉄郎を担いだ十三がアームド斎のモニュメントの立つ終戦記念公園を訪れる。
そこには以前、鉄郎達が攫われた時に出会った老人と、彼の車椅子を押す朽木という男の姿があった。
二人はどうやらスピッツベルゲンの関係者らしい。
朽木は老人が鉄郎を解放した事に疑念を持っているようだった。
そこに現れた十三に、老人は鉄郎様と呼びかけた。
鉄郎は自分たちが解放される条件に、ハルモニエを使い十三を連れて来る事を約束していたようだ。
老人は確かにハルモニエが起動している事を確認し、話を続けた。
老人には双子の兄がいた。
生まれつき両足の不自由だった自分と違い、兄は快活で老人には完璧な存在に思えた。
そんな兄が戦争に行き、戦地に向かう列車の事故で両足を失い、戦う事なく帰ってきた。
兄は無くなっていたのがお前の足だったらと老人に語り、両親も二人は養えないと話し、戦場での負傷なら手当てが出た、いっそ死んでくれたらと兄弟の存在を疎ましく思っているようだった。
彼は欠けているのは自分ではなく世界だと悟り、欠けた現実に抗おうと研究を続けた。
彼の名はアンディ・ウォシャウスキー。
この世界に拡張技術を生み出した者の一人だった。
ウォシャウスキーはベリューレンを倒す為、ガンスレイブユニットである十三を欲したのだ。
通常ガンスレイブユニットは、バディであるハンズ承認がないと能力を解放できない。
だがハルモニエのハッキング能力を使えば、ハンズ無しでも能力が使える。
老人は鉄郎に、ベリューレンのガンスレイブユニット、セブンに対抗するため十三の能力を解放する事を求めた。
十三はそれに抗う様に階下に飛び降りた。
階下には以前、対峙した事のあるスピッツベルゲンの戦士が待ち伏せしていた。
老人の連れていた四人の兵士が、十三を拘束しようと取り囲む。
四人を一瞬で倒した十三は、戦士にかかってこいと手をかざした。
十三の拘束に手こずっている様子を見て、ウォシャウスキーは残っていた朽木に、加勢するよう指示を出す。
ウォシャウスキーが一人になったのを見計らったように、彼に声が掛けられた。
彼の車椅子の後ろに立った人物。
それは鉄郎だった。鉄郎は自身の補助脳をハッキングし、ハルモニエを起動させ、十三を操っている様に見せたのだ。
誘拐した際、ウォシャウスキーは鉄郎が記憶を失う前に何をしていたかを彼に話した。
それによれば、鉄郎はスピッツベルゲンに資金提供していたらしい。
自身の行いが、コルトや大勢の人間を殺める事の、引き金になったかも知れない。
ベリューレンの犠牲者を助けたい。
それすらも自分の本当の気持ちかどうか、分からなくなっていた。
過去なんて知りたくなかった。
そう言った鉄郎に、十三は知らなかったら、帳消しになるのか?と尋ねた。
続けて知らねぇことには、決めようがねぇだろうと答える。
「大事なのは知っちまった事に対して、どういう選択を取るかだ。」
十三は続けて言う。
「てめぇの価値は、てめぇで決めろ。」
鉄郎は選択した。
鉄郎はウォシャウスキーの車椅子を押しながら、彼との交渉を開始した。
感想
今回は冒頭のウォシャウスキーと鉄郎の対決から、十三の過去、そして能力を解放したセブンとの戦いへとお話は展開していきます。
今回のMVPはやはり鉄郎でしょう。
彼は物語の初めから、かなり芯の強い人物でしたが、この巻では失っていた過去を知り、それを乗り越え、十三に道を示すまでに成長します。
彼に背中を押される形で、十三は自ら引き金を引きました。
十三に庇護されていた鉄郎が、対等な立場の仲間になった。
そんな風に感じます。
まとめ
今回は十三の過去が語られました。
彼の過去に登場する相棒の男が何者なのか、まだまだ謎は多いですが、引き続き読んでいきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。