ゴールデンゴールド 6 モーニングKC
作:堀尾省太
出版社:講談社
一巻冒頭で描かれた過去の様子は、二つしか価値観(フクノカミ派とそれ以外)がない事による、対立の激化が生んだ結果の様です。
その過去から学んだフクノカミは自身を三つに分け、もともとのフクノカミ(運による発展)カネノカミ(金への執着)ヒトノカミ(人情への訴え)の三つで人の心を操り対立を緩やかにしようと画策します。
あらすじ
分裂したフクノカミの力。
それは島に新しく作られる、パチンコ店の説明会で如実となった。
店側にはカネノカミが座り、住民側にはヒトノカミが座っていた。
カネノカミは店側の一人を操り、金の力で全てを解決しようとした。
ヒトノカミはそれに対抗し、人情に訴える事で住民たちの感情を盛り上げる。
カネノカミとヒトノカミの力は広く住民に伝播し、金を至上とする者と人情を一番に考える者達の気持ちを煽り、対立を生んだ。
一方、フクノカミは及川に琉花が振られたと思った事で、力を無くし弱った様子を見せていた。
感想
冒頭のパチンコ店のシーンは、新しい二つのカミの力を分かりやすく描いています。
カミの力が無くても、ああいった場面は現実で見た事がありますし、彼らはそれを煽っているだけなのでしょう。
しかし、余りに新たなカミの、自分の派閥を勝たせたいという想いが強く、三竦みでの発展を考えていたと思われるフクノカミの思惑を超えて、カネノカミとヒトノカミの対立は制御出来ないものになっている様に感じました。
その事からフクノカミが作った新たなカミは、フクノカミが支配しているのではなく完全に独立したモノである事が窺えます。
確かに多様性という事を考えるなら、そこにフクノカミの意思が介在すれば結局フクノカミという大きな派閥の中の一つという事になります。
それでは真の多様性(完全な別勢力)とは呼べないでしょう。
また、フクノカミは復活の起点が琉花の願いであった為、彼女の想いに強く影響を受ける事が分かりました。
彼にとって町子や強寧会の人々の祈りよりも、琉花一人の想い方が大きいのでしょう。
琉花の想いが土台で、町子たちはその上に建てられたモノ。
土台が揺らげば上も崩れる、そんな風に感じられました。
まとめ
今回、巻末にある次巻の予告には、三つのカミによる聖戦と書かれていました。
これがフクノカミの思惑によるものなのか、それとも新たなカミの暴走の結果なのか気になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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