あおのたつき 1 ゼノンコミックスBD
著:安達智
出版社:コアミックス
新吉原京町二丁目、羅生門河岸の角、九郎助稲荷のその奥。
浮世と冥土の境となる場所に冥土の花街があるという。
今日もそこに道に迷った遊女が一人。
登場人物
あお
花魁姿の少女
生前は三浦屋で働いていた濃紫(こむらさき)という名の遊女。
冥土では人々が生前の想いに囚われた姿をしている。
あおが少女なのもその影響のようだ。
強く金に執着している。
楽丸(らくまる)
冥土の吉原遊郭を管轄する鎮守の社の宮司
狐耳で長髪の青年。
遊郭に訪れる者たちの穢れを払い浄霊をしている。
薄神(うすいのかみ)
鎮守の社の主神
赤い隈取の白狐。
行動は犬っぽい。可愛い。
富岡(とみおか)
自分の顔にコンプレックスを持つ遊女
おしろいを塗りたくった巨大な顔だけの姿の遊女。
同じ里出身の花魁のきよ花と自分を比べ嫉妬していた。
三つ子
三つ子の女の子
畜生腹と蔑まれ、花街に売られに行く途中で賊に襲われ亡くなった。
きよ花(きよはな)
加賀屋の花魁
紅花商人の徳という老人に見受けされる事になったが、その徳がライバルの死を切っ掛けに人が変わった事を気に病んでいる。
社を訪れたが彼女はまだ死んでいない。
徳(とく)
紅花商人
花魁のきよ花を見受けした大商人。
以前は温厚だったが、商売敵の紅花商の死から人が代わり、御座敷で暴力を振るう様になった。
あらすじ
三浦屋の遊女、濃紫(こむらさき:幼名はあお)は気が付けば童女(わらめ)の姿で見知らぬ神社にいた。
彼女はその社の宮司、楽丸から、ここが浮世と冥土の境にある遊郭を管轄する鎮守の社であると聞かされる。
社の窓から街を見下ろせば、花街を行く者達の顔は獣であったり魚であったり、はたまた妖怪の姿をした者も見受けられる。
楽丸が言うには皆、それぞれ生前の想いに囚われた姿をしているらしい。
楽丸はそんな死者の中にいるわだかまりを持つ者の思いを晴らし、悪霊になる事を防いでいるらしい。
魂を守り導く事を生業としている。
そう言った楽丸にあおは浮世へ導いてくれと頼む。
彼女は何故か金儲けに執着していた。
どうやらこれからバンバン稼ごうとした矢先に亡くなったようだ。
そんな話をしていた二人の前に、巨大な遊女の顔が現れた。
感想
吉原。様々な情念が渦巻く遊郭の街。
この作品はそんな遊郭で亡くなったり、迷い込んだ者が訪れる冥土の花街で、未練を払い浄霊を行っている宮司、楽丸の社に居着いた元遊女、あおの日々を描いたものです。
あおは口減らしで殺されそうになった赤子を救うため、自ら吉原に売られたようですが、彼女が亡くなった経緯はまだ分かっておらず、お金に対する執着もその理由は語られていません。
作品はあおが楽丸の助手として、悪霊になった者達の話を聞きそのわだかまりを払っていくという形で進行していきます。
和な世界観と美しい絵、勝気なあおと可愛い薄神。
ゲームの「大神」やアニメ「モノノ怪」を思わせる作風は見ているだけで楽しいです。
まとめ
この作品は電子のみで販売されていましたが、今回めでたく紙の本で出版されました。
紙派なのでとても嬉しいです。
この作品はマンガボックスにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。