ゴールデンゴールド 1 モーニングKC
作:堀尾省太
出版社:講談社
福の神伝説が残る瀬戸内海の島、寧島。
その島で祖母と暮らす中学二年生の少女、早坂琉花(はやさか るか)。
彼女は海岸で不気味な置物を見つけます。
登場人物
早坂琉花(はやさか るか)
学校に馴染めず祖母のいる寧島へと越して来た中学二年生。
黒髪ツインテールの女の子。
人の気持ちを感じ取る事が出来る事で、地元の中学では馴染めなかった。
同級生の及川に恋心を抱く。
及川(おいかわ)
琉花の同級生
黒髪の少年。
漫画やアニメが好きなオタク少年。
ばあちゃん
琉花の祖母
寧島で民宿を営む。
琉花がフクノカミに願った事が原因で性格が変わる。
黒蓮(くろはす)
寧島に取材に来た作家
ショートカットの女性
青木(あおき)
黒蓮の担当編集
黒髪の青年。
フクノカミ
琉花が磯で拾った謎の存在
アニメイトの為、大阪の高校に通うという及川に島にいて欲しいと願った琉花は、寧島にアニメイトが出来る様にフクノカミに願う。
あらすじ
中学二年生の早坂琉花は、人の気持ちを鋭敏に感じ取る事が出来る。
それは気持ちを察するといったレベルでは無く、人の本心、疑いや苛立ち、好悪等、表面上は隠している本心が筒抜けになる程のものだ。
その為、街の学校にはなじめず不登校になり、人口の少ない祖母が暮らす寧島にやって来た。
その島で出会った同級生の及川は、裏表無く琉花に接してくれた。
その事で彼に好意を抱くようになった琉花は、話の切っ掛けを作ろうと、彼が好きな漫画やアニメを見る様になる。
同じ趣味の友人としての立ち位置を確保した琉花だったが、及川は高校からは大阪に行く事になるという。
彼の父親は単身赴任で大阪におり、及川本人もアニメイトにチャリで五分で行ける環境を嬉しく思っているようだ。
彼の言葉にショックを受ける琉花。
それを引きずったまま、祖母の営む民宿に久しぶりに来る客の為、海岸で貝を取る事を引き受けた。
偶々その泊り客と出会い、彼らに説明しながら貝を取っていると琉花は奇妙な置物を見つけた。
一見ミイラのような、それを琉花は家に持ち帰る。
ひどくヌメっていたので、洗剤で洗うがヌメりは一向に取れない。
しかも感想したその置物は、質感が肌荒れの様になっていた。
気味が悪いが捨てる事も出来ず、琉花は翌朝その置物を神社に納める事にした。
神社で掃除をしていたおじさんに聞くと、適当に空いてる祠に収めろという。
彼は神主でもなんでもなく、時々掃除をしているだけのおじさんだったので、その辺はいい加減だ。
彼の言葉を受けて、琉花は草に埋もれ朽果てた祠に置物を置いた。
戯れにその置物に手を合わせ、島にアニメイトが出来るよう祈る。
祈りを終えた琉花が目を開けると、置物は無くなり、草の上に笑顔を浮かべた奇妙な生き物が立っていた。
感想
琉花が拾い、祈りを捧げた生き物(便宜上フクノカミ)は人の精神を操ったり、記憶を改竄する事が出来るようです。
物語がどう進むのか、フクノカミが一体何なのかまだ分かりませんが、物語冒頭の江戸時代の斬り殺された、フクノカミと同じ顔をした人々の姿でホラーサスペンス的なモノを感じます。
ただ、出て来る登場人物、主人公の琉花、小説の取材で島を訪れた小説家、黒蓮等が軽いのでそこまで陰惨な印象は受けません。
ただ、行動が変化していく、ばぁちゃんの様子にはおぞましさを感じました。
まとめ
考え方を誘導される事への嫌悪感。その事を強く感じました。
琉花は余り影響を受けていないようですが、最初にフクノカミを拾った事は操られていたと思わせる描写があります。
そんな中で、黒蓮だけが全く影響を受けていないのは、何か理由があるのかなと考えてしまいます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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