太陽と月の鋼 6 ビッグコミック
著:松浦だるま
出版社:小学館
土御門家の当主、晴雄(はれたけ)率いる陰陽師に妻、月(つき)を奪われた侍、龍土鋼之助(りゅうど こうのすけ)。
その妻、月の居場所を知るという運の力を操る天朸(てんろく)と勝負する事となった鋼之助。
負けて自らの死を望む天朸だが、その力が彼に負けを許さない。
そんな天朸の過去が解き明かされる。
登場人物
天梧(てんご)
天朸の父親
村が飢饉に襲われ、命綱である蚕も全滅する中、長男である天朸が生き延びる事を何より望んでいた。
天朸の母
飢饉に襲われた村から天梧によって、幼い息子、天七と共に逃がされたのだが……。
天七(てんひち)
天朸の弟
母親と共に村から逃げ出したが……。
お引き(おひき)
天朸の妹
飢えから逃れるため、名主は月に一度サイコロを振り、出た目の割り当てられた者を間引きする事を決めた。
お引きはそのサイコロによって間引きされた。
お紡(おつむ)
天朸の妹
サイコロに選ばれる事はなかったが飢えにより衰弱し、幼くして亡くなった。
真灰(ますみ)
天朸の家の馬
荷運びに使われていたが、妻と天朸の弟、天七(てんしち)を逃がすため、天梧は渡しに真灰を譲った。
名主
村長、白髪の老人
飢饉で困窮する村で、わずかに残った食料を平等に分配する仕組みを作った。
しかし、それでも満足な量は供給できず、人減らしのため、サイコロによる間引きを慣行した。
あらすじ
運の力を操る天朸。
彼がまだ十二歳の少年だったころ、酷い飢饉が村を襲った。
天朸の村は米作りに向かない土地柄で、米は村の産物である養蚕により手に入れていた。
しかし、その年はどこも米が不作だった。
売り渋りが起こり、産物の絹糸では米が手に入らなくなった。
さらに例年にない寒さは蚕の食料である桑の葉にも影響を及ぼした。
結果、蚕は全滅。
村人はやつれ、体力のない幼子や老人は飢えにより死んでいった。
名主はそれをどうにかしようと村に残ったわずかな蓄えを集め、人の数で割る事で平等にいきわたるようにした。
しかし、それでも生きていくことは難しい。
名主は村人全員を集め、名の書かれた紙を取り出した。
名前の上には一から六までの数字が二つ並んでいる。
食い扶持を減らすしかない。
ただ、それを誰にするのか、自分には決められない。
いや、きっと誰にも決められない。
だから天運の神に決めていただく。
そう言って名主は色の違う二つのサイコロを振った。
選ばれたのは桑ヶ坂の錘右衛門(すいえもん)。
その日、村では一人の老人が死に、ほんの少し配られた食料が増えた。
感想
今回は冒頭、飢えにより人減らしを行った天朸の村のエピソードから始まり、天朸の力の目覚めと村の顛末、天朸の力の正体と鋼之助の真の力、運試しの終わり、月との再会などが描かれました。
今回はその中でも天朸の過去のエピソードが印象に残りました。
あらすじに書いたように天朸の村は米作りに向かない土地柄で、主食である米は絹糸と引き換えに手に入れていました。
しかし大規模な米の不作により、売り渋りが起こり村には食料が入ってこなくなりました。
作品は天保の飢饉をモデルに描かれたようですが、食料自給率の低い現在の日本は天朸の村のように、外からの輸入に食料を頼っています。
戦争の影響での小麦不足など、気候の影響以外でも日本は日々の暮らしに響いていると感じます。
現代社会で天朸の村で起きたような事が起きるとは考えにくいですが、やっぱ食べ物は自前で用意できるようにした方がいいよなとエピソードを読んでいて思いました。
まとめ
この巻のラスト、月と再会した鋼之助。
その前に立ちふさがる、陰陽師、夜刀川瞠介(やつがわ どうすけ)。
呪を斬る力を得た鋼之助は瞠介を倒し、月を奪い返すことが出来るのか。
次巻も読むのが楽しみです。
この作品は、pixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
松浦だるまさんのTwitterはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。