DRAMATIC IRONY ドラマティックアイロニー 藤崎竜短編集2 ジャンプコミックス
著:藤崎竜
出版社:集英社
藤崎竜さんの短編集第二弾です。
今回はSF物三作(一作は劇中劇の形でファンタジーですが)と封神演義のパロディが収録されています。
各話 あらすじ・感想
DRAMATIC IRONY ドラマティックアイロニー
あらすじ
未来のMANGA。
それは、自身が主人公の人格を脳にダウンロードする事で完全に主役になり切り、物語を楽しむ形になっていた。
少年はHMDを装着し以前の続きから、そのMANGA「ドラマティックアイロニー」を観ることにした。
その世界は光の民と闇の民が争いを続けていた。
主人公の正義の民セイは、殺されそうになっている所を助けた愛の民の少女カーマと共に旅を続けていた。
かつて12人いた戦士も戦いの中で減っていき、今は戦士はセイ一人になっていた。
闇との戦いで傷ついたセイは向上の民の少年ジンに助けられ、彼の住む空中都市に運ばれる。
一見豊かで平和に見える空中都市は闇の者が光の戦士から民を住まわせる事で彼らを人質に取り、自身を守る為と地上の民の命を効率良く食うために作り出した物だった。
セイは闇の者を倒し空中都市を破壊することを決断するが…。
感想
この短編集が発売されたのは2001年ですが少年が付けているHMDは現在のVRに非常によく似ています。
テーマが漫画なので特に操作はしないようですが、VRの一つの形として物語性を重視したVR作品も面白そうだなと感じました。
ユガミズム
あらすじ
天才少女スズキ・エン。
彼女は学校の先輩、人内積人が精神の歪みが原因でそれが空間にまで影響を及ぼす事を発見した。
積人は天邪鬼で乱暴な性格だ。
エンは持論を証明する為、彼に協力を頼む。
様々なケースを検証し何とか規則性を見つけようとするエンだったが、空間が歪む原因と積人の心の因果性を解明できずにいた。
ある時、自説を巡ってテレビ出演を依頼されたエンは積人と一緒に番組に出る事になる。
番組では何も起こらず、やはり発表はデマだったかと他の研究者達がエンを攻め始めた時、積人が彼らに歩みより「全部嘘さ」と言い放った。
感想
素直になれない積人と天才だけど人の事がよく分からないエンの歪みをテーマにしたラブコメ的な作品です。
雰囲気としてはサクラテツに近い感じだと思います。
milk junkie ミルクジャンキー
あらすじ
地球で少女が見つけた段ボール。
それが地球が無人の星となるトリガーだった。
地球によく似た別の星。
身長の低さに悩む少年エンダーは、無法地帯にある暗黒薬局という店で身長が伸びる牛乳を手に入れる。
半信半疑だったがダメ元で飲んでみると、彼の身長は一晩で四センチ近く伸びていた。
店主からは飲む量に注意しないと大変な事になると言われていた。
確かに瓶には1日1000mlまでと注意書きがされている。
身長が伸びた事が嬉しくて暗黒薬局に牛乳を求めると、もう普通の牛乳でも効果があると言われる。
更に背が欲しいエンダーは1リットルの紙パックを飲み干し、気持ちよく眠りについた。
翌朝目覚めるとエンダーの体は3メートルを超えていた。
感想
身長を求める少年が高身長を求め怪しい牛乳を飲んで巨大化する。
お話としては笑うセールスマンと同じ展開です。
喪黒福造の方が騙していない分少し善良に思えます。
まあどっちにしても不幸が待っている訳ですが…。
異説封神演義
あらすじ
仙人界に住む太公・望(たいこうのぞみ)は師匠である元始天尊から殷を如何にかするよう命じられる。
彼女は殷の民を救うべくまずは炊き出しから開始した。
感想
藤崎さん自身の描いた封神演義のパロディ作品です。
太公望と妲己、紂王などは完全に別人格で描かれています。
また、望が行った事に妲己が関わる事で次々と悲惨な事故になっていきます。
この作品は封神演義を読んでからの方が楽しめると思います。
まとめ
今回の短編集は、コメディタッチの作品が多く収録されています。
藤崎さんのギャグテイストがお好きなら読んでみても良いかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。