ストレンジ torch comics
著:つゆきゆるこ
出版社:リイド社
様々な形の友情を描いた短編集。
BLっぽい感じもありますが、色んな形の友達の姿が描かれています。
各話あらすじ・感想
STRANGE ストレンジ
あらすじ
塾に通う高校生、オデコ(名付けたのは熊田)は、公園でブランコに乗る熊田(ゲイ、女装)に出会う。
特にしたい事も無くなんとなく生きているオデコの心は、興味のある事に次々挑戦していく熊田の姿を見て少しづつ変わって行く。
感想
恐らくゲイである事で辛い事も多いのでしょうが、熊田は泣き言を言っている自分に対して情けないと心を奮い立たせ顔を上げます。
オデコが言う様に自分のやりたい事を真っすぐにやっている熊田は、とても格好いいと感じます。
CONEECT コネクト
あらすじ
高校生の涼二はクラスメイトの本庄の事を嫌っていた。
鈍くさく愛想笑いでごまかす本庄に彼はイラついていた。
ある時、友人の寺尾からオンラインゲームで知り合った人物を紹介される。
それは彼が嫌っていた本庄だった。
感想
クラスメイトなら生きてきた時間はほぼ同じで、それぞれ経験してきた事、考え方も違うのが当たり前です。
表面上だけで判断し人をこうだと決めつけてしまう事は、新しい価値観を知る機会を失っているのかもしれません。
BRIGHT ブライト
あらすじ
出張で訪れた常夏の楽園ハワイで、大野原幸春は娘に紹介したい人が居ると電話で告げられる。
様々な想いが渦巻き落ち込む幸春に声を掛けたのは、ハワイで観光ガイドをしている青年リノだった。
幸春は彼の案内でハワイを巡るうち、自分がどれだけの物を見落とし、そして経験していなかったのか改めて感じるのであった。
感想
人は長く生きる間に知らず知らずのうちに、生き方を狭めているように思います。
海外旅行に行くと価値観が変わるというのは、日本での常識が非常識であったり、自身がこうしなければならないと思い込んでいるものがそうでは無い事を見せられるからかもしれません。
FRIEND フレンド
あらすじ
図書委員を務める大滝は、クラスでも浮いた存在である上田野大将と知り合う。
本を通じ彼と話すようになり大将がクラスメイトが言うような、所謂、不良では無いのではと思い始める。
感想
この作品ではCONEECTとは逆に問題を起こさない優等生側からの視点で物語は描かれます。
大将に対しての周りの噂や素行の悪さの理由。
それだけで判断するのではなく人の行動には理由があり、話し合う事で分かり合える場合も多々あるように感じました。
PRETTY! プリティ
あらすじ
教師である日野田と生徒である栃谷。
日野田は生活態度の悪い栃谷とあまり関わりになりたくなかった。
ある日、学校に迷い込んだ猫を思わず撫でている所を栃谷に見られてしまう。
実は栃谷も動物好きで二人は動物仲間になった。
感想
趣味が同じという事で一気に距離が縮まる事も多いと思います。
しかしそれも意思表示しないと分からないでしょう。
この話でも、栃谷が日野田に携帯の写真を見せなければ生徒と教師という関係性は超えられなかった様に思います。
MOVE ムーブ
あらすじ
稲荷穂(いなりみのる)は妹の息子、甥の澄(ますみ)を暫く預かる事になった。
初日に彼を女の子と間違えた事で二人の関係は最悪の状態でスタートした。
ある日、仕事から帰ると澄がアニメで流れるダンスを踊っていた。
アニメファンの穂はそれに感動し自分は運動が苦手だから憧れると口にする。
それを聞いた澄はおしえてやろうかと返した。
感想
二人が打ち解けた切っ掛けはダンスでした。
音楽や踊りには、人の心を繋ぐ力があると感じます。
音楽は人の心を湧き立たせ、それが踊りという体の動きに繋がっている気がします。
大昔から存在し現在も廃れず人々が熱狂しているのは遺伝子に刻まれた本能なのかもしれません。
まとめ
この短編集のテーマは個人的に対話かなと感じました。
人種や世代、環境等、様々なものが違っても、話し合う事でお互いを理解し歩み寄る事が出来る。
そういう理想が描かれているように感じました。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。