おなかがへったらきみをたべよう
著:たばよう
出版社:秋田書店
変わった石を拾った少女。
彼女はその日から夢を見る。
その夢は遠い昔、今から十万年の地球。
独りぼっちになった男の子と一匹の小さなマンモスの旅の夢だった。
登場人物
少女
セミロングの女の子
散歩の途中、変わった形の石を拾う。
その石からは楽しい音が流れてきて……。
男の子
原始の世界に生きる少年
暮らしていた村がマンモスに襲われ、天涯孤独となった。
マンモス
小さすぎて親に捨てられたマンモスの子供。
少年に捕まりその後、旅を共にすることになる。
女
マンモスの頭蓋骨を被った女
おなかを壊した男の子を助け、彼に言葉を教える。
パパ
少女の父親
眼鏡にあごひげの男。
少女の拾った石が化石ではないかと考える。
黒髪の女
ウサギの帽子をかぶった黒髪ロングの女。
行き倒れた男の子たちを拾う。
彼女の村は豊かな様で、男の子たちはたらふく食べる事が出来たが……。
長老
黒髪の女の村の長老
禿頭で髯のおじさん。
狩りで活躍した男の子に一人前の証とウサギの帽子を与える。
あらすじ
今からちょうど十万年前、とある村で両親と楽しく暮らしていた一人の男の子。
その日も元気にお出かけし、彼は取り残されたマンモスの子供を見つけた。
彼にとって初めての獲物。
男の子はマンモスの鼻を引き、意気揚々と村へと戻った。
しかし、戻った村に人の姿はなく、そこにはマンモスに踏み荒らされた村の残骸が残るのみだった。
彼は残骸から突き出た手の中に父親が吹いていた笛を見つけた。
男の子が鳴らせない笛を吹いていると、代わりに彼の腹の虫が鳴る。
傍らには捕らえた子マンモス。
男の子はマンモスを食べようと、マンモスを石斧で殴りつける。
男の子が殴るたび、マンモスは悲しげに泣いた。
その鳴き声は死んでしまった両親の姿を思い出させた。
男の子の目から涙があふれ、彼はその夜泣き続けた。
翌日、男の子はマンモスの鼻を握り、当てのない旅に出た。
感想
原始時代、村を失った少年と親に捨てられた子マンモスの旅を描いた作品。
農耕文化の無い時代、人々は狩猟や採取で暮らしています。
マンモスも貴重な肉を得られる獲物という位置づけです。
そんな世界で少年はマンモスを食べる事なく、友人や仲間のように接し旅を続けていきます。
作中、言葉を扱う者たちも登場しますが、少年の村では言葉を話す者はおらず、彼は基本、しゃべる事はせず叫び声と体当たりでマンモスとコミュニケーションを取っていきます。
作品の終盤、雪の中、少年はマンモスと共に永遠に眠ろうとしました。
旅を続けていくうち、一人と一匹は家族になったんだなと読んでいて感じました。
まとめ
マンモスとの日々が厳しいですが明るく楽しかっただけに、最終話は強い切なさを感じました。
ただ、命を繋ぐという事は、ああいう事かもしれないなとも思いました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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