テンジュの国 4 KCデラックス
著:泉一聞
出版社:講談社
競馬祭に参加したカン・シバ達、祭りではカン・シバは早駆けに出場し、優勝してラティにマーモットをご馳走しようと頑張りますが、優勝を逃します。
落ち込むカン・シバですが、ラティはカン・シバが自分の為に頑張ってくれた事を知り、喜びを感じます。
あらすじ
競馬祭でカン・シバとラティの想いはさらに深まった。
その競馬祭も終わり、天幕には祭で張り切り過ぎた人たちが、大勢来ていた。
ラティは、医師としてひたむきで優しく、皆に慕われるカン・シバを見て、自分が彼にふさわしいのか不安を感じる。
過去を思い返すと、ぞうきんを草色に染めようとして、茶色にしてしまったり、割と残念な子だった気がする。
カン・シバと患者の会話の中で、彼は皆が穏やかに暮らせる理想に近づきたいと口にした。
その言葉でラティは自分の理想は、彼に申し訳なく思いながら暮らす事では無いと思い、カン・シバの叔父、デキ・サンジェが羊の頭のスープを作ったというので、もらいに行くことにした。
スープを貰い鍋を抱え帰る道中、今は何もないけれど、理想の自分で彼の傍に居たいとラティは思った。
感想
羊の頭のスープは、美味しい所というのが頭の肉なので、丸のまま煮込まれた羊の頭が出てきて、少しギョッとしました。
しかし、よく考えれば魚も頬肉は美味しいし、良く動く部分は美味しい気がします。
大きさ的に身を解して食べるのかな等と考えてしまいました。
今回はあらすじで書いた話の他に、聖地巡礼、がけ崩れ、ヤクの転落死亡事故、沐浴と薬入れ、髪の話等が収録されています。
特に聖地巡礼については、五体投地(両肘、両膝、額を地面につけ祈る礼拝方法)をして進んでいくのですが、普通に歩いても遠く過酷な旅を、五体投地をしながら進むなんてと気が遠くなりました。
巡礼をする理由が、貧しいながらも、穏やかに幸せに暮らしていけている事に対する感謝と、来世も周囲の人たちと幸せに暮らしていきたいという願いからというのが、チベットにいかに仏教の教えが浸透しているかという事の現れの様に感じます。
まとめ
この物語には基本、悪人は登場しません。
人々は自分の仕事に責任を持ち、他人を慈しみ協力する事を自然に行っている様に感じます。
物語的な誇張はあるのでしょうが、仏教が生活に深く浸透している事が理由ではあるのかなと思いました。
この作品はpixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。