テンジュの国 3 KCデラックス
著:泉一聞
出版社:講談社
カン・シバはラティの優しさに、ラティはカン・シバの人を救うために一生懸命な所に魅かれているようです。
あらすじ
銃を持った男をラティが口説いている。
彼の名はタシ。
彼は結婚しているが、チベットでは一妻多夫婚もあり、彼の妻は彼の兄の妻でもある。
ラティとカン・シバは女性が余ると少しずれた事を言っていた。
ラティはタシに子供が混乱しないか尋ねた。
この辺りでは、兄弟どちらの子であっても、家族として扱うため特に問題ないようだ。
この習慣は財が分散する事を防ぐ事と、団結を強める意味があるらしい。
話が一区切りついたので、カン・シバはタシに狩りに行くのか尋ねた。
タシは競馬祭の練習とそれに答える。
競馬祭は夏に行われ、村々から人が集まり、競馬、弓や銃の的当て歌や踊り等が催される。
タシは馬上で銃を撃つ的当ての練習をするようだ。
タシは崖下に行くというので、薬草採取の為カン・シバも同行する事にした。
道中、タシからラティに可愛いとか好きとか言葉にしているかカン・シバは問われた。
特に言っていないカン・シバは、何故と問い返す。
タシは結婚は家同士の事だから逃げる事は無いが、心が離れるとそれに答えた。
言葉を伝えろ、好きなんだろと言われ、カン・シバはラティの事を考えながら薬草を取った。
好きというのは家族が好きなのとは違うのか。
ラティは可愛いし、好きな事を話している時の、生き生きした様子は素敵だ。
カン・シバは、休憩に来たタシの言葉で、ラティに他にも夫がいたらと考え、とても嫌な気持ちになった。
タシとお茶を飲みながらその事を話すと、自分には独占欲はあまりないが、そう思える相手でよかったなと言われた。
彼女以外の相手が婚約者だったらと考え、カン・シバがモヤモヤしていると、タシは撃ってみるかとタシが銃を撃つ事を勧めてきた。
的に当たらなかったことに落ち込むカン・シバに、スッキリしただろとタシは言う。
彼は狙いをつける事に集中させる事で、カン・シバの頭をカラッポにしたかったのだ。
あとは伝えるだけだと言うタシに、どうやってとカン・シバは尋ねたが、思っている事を言うだけだと彼は答えた。
タシはとても自然に、ラティを称える言葉を口にしていた。
あんな事は自分には出来そうもない。
家に帰り、犬のセンゲ相手に練習していると、ラティがおかえりなさいませと声を掛けてきた。
それにただいまと返し、仕事に戻ろうとする彼女の背中を見ていると、タシの言葉が頭によぎった。
“ちゃんと捕まえておかないと離れちまうぞ”
カン・シバは咄嗟にラティの手をとり、僕の傍に居て下さいと口にしていた。
顔を真っ赤にするカン・シバに、ラティは「はい」と頬を染めながら答えた。
感想
カン・シバは好きという感情が分からず悩んでいましたが、咄嗟に傍に居て欲しいという言葉が出るという事は、ラティじゃないと駄目になっていると感じました。
人の笑顔と薬草の事しか考えていなかったカン・シバに、ラティの事が加わった気がします。
まとめ
今回はあらすじで書いた話の他に、行商人の話、そして競馬祭の話が収録されています。
競馬祭では馬のレースの他、馬に乗って弓や銃を撃ち、的を狙う流鏑馬の様な競技等が描かれています。
この作品はpixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。