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虹の舞う海に ソード・ワールド短編集 各話冒頭部分あらすじ・感想

投稿日:2018年9月23日 更新日:

帆船
虹の舞う海に

安田均 編
水野良 他
イラスト 米田仁士
富士見ファンタジア文庫

テーブルトークRPG「ソード・ワールドRPG」の世界フォーセリアを舞台にした短編集、第十一作目。

今回の短編集は「ライバル」をテーマに執筆されています。
この短編集には3作が収録されています。

 

各話のあらすじや感想など 

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祝福されざる聖杯に 羽根頭冒険譚5 水野良

あらすじ
ライスたち羽根頭の四人は、アレクラスト大陸最大の国、オランに来ていた。

冒険者の店「古への夢」で依頼をうけた彼らは、早速、依頼人と会うことにした。
依頼人はライスの修行時代の仲間アマディアだった。

アマディアは神殿から盗み出された祭器を取り返して欲しいという。

祭器は「祝福の聖杯」と呼ばれ、杯に血を注げばワインを満たし、肉片を入れればパンになるという奇跡を起こすものだった。

祭器は現在、スラムにあり住民たちが実際に使用しているという。
幸運神チャ・ザは商業の神として信仰を集めているため、教義で盗みは固く禁じられている。

盗まれたことが知られ、噂が広がれば教団の威信にかかわる。
さらにアマディアは仕事を完遂すれば、ライスの破門も解け教団への復帰も叶うだろうと語る。

スラムでは一日の食事もままならない人もいる。
そんな状況の中、祭器の存在は人々の救いになるだろう。

羽根頭たちの信念は、人の幸せのために自分たちが少しでも役に立てればと言うものだ。
仲間たちが見守る中、ライスは依頼を受けた。

依頼を受けたことがリーライナは納得できない様子だ。

パーティの雰囲気がぎくしゃくする中、依頼のためにスラムを訪れたライスたちの前に三人の男たちが現れた。

感想
パンとワインを生み出せる祭器があれば、スラムの人たちはとりあえず餓死することはなくなります。
しかし祭器を当てにして働かなる人たちも出てきます。

現実世界でも発展途上国に対する支援により、働くことをやめ、施しのみで生活するようになる人もいるようです。

救済は必要だと思いますが、自立するための手助けのような形が理想なのかなと思いました。

虹の舞う海に 白井英

あらすじ
アレクラスト大陸最北の国バイカル、その王城であるシルバーホエール城で王室警護兵であるリュシアンは、セリアス王女の護衛を務めていた。

バイカルでは隣国ロードリルに対抗するため、王女セリアスと有力貴族であるアルマ公ギアースの孫との結婚が予定されていた。

そんな折、寝室で休んだいたリュシアンを刺客が襲う。
なんとか刺客を退けたリュシアンだったが、狙われたのはリュシアンではなく王女であることは明白だ。

王城にまで刺客が入り込んだことにより、城では王女を守り切れないと考えた王は、アルマ公の協力を得て軍船「久遠の虹」号に王女を匿うことにした。

「久遠の虹」号の船長、ゼラーヴは複雑な思いでリュシアン達を受け入れた。

ゼラーヴとリュシアンは同じ一族の出身で、かつてゼラーヴが近衛兵に志願した際、リュシアンにその座を奪われた経験を持つ。

今は海の男として、自分の生きる道を見つけたゼラーヴだったが、女であるリュシアンに負けたという思いは、彼の中にわだかまりとして残っていた。

様々な思いを抱えたまま「久遠の虹」号は王女たちを乗せ港を出港した。

感想
ライバルがテーマの今回の短編集ですが、この作品が一番そのテーマが色濃く出ているのではないかと思います。
もっともライバル視しているのはゼラーヴのみで、リュシアンはあまり感じてはいないようですが。

彼らが恋人、果ては結婚ということになっても、ゼラーヴはリュシアンの尻に敷かれることは間違いないでしょう。

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野獣死すべし “赤い鎧”2 清松みゆき

あらすじ
盗賊上がりのレニは昔の仲間ボスに呼び出されていた。
ボス、太っちょ、アン、レニの四人で昔悪さばかりしていた。

そんな生活に嫌気がさし、もう二度と会わない約束で袂を別ったのだ。
アンとだけは連絡をとっていたが、彼女がファリス神殿で働き始めると疎遠になっていった。

ボスが呼び出した理由は、彼に赤い鎧から予告状が届いたのだ。
赤い鎧は一年程前に現れた正体不明の戦士で、身に着けた鎧が赤いことからそう呼ばれていた。

ボスは助けて欲しいと彼らを頼ってきたのだ。

レニは受ける気は無かったが、協力しなければアンの恋人であるファリス司祭に、アンの過去を暴露すると脅され、彼女のために、渋々手を貸すことを了承する。

ボスに呼び出されたレニは夜の新市街にいた。
恐らくボスの隠れ家もこの付近にあるのだろう。

待ち合わせの場所へ向かったレニは倒れた男と、その周辺でしゃがみ込み何かをしている人影を目撃する。

ランタンの弱い光では、はっきりとは解らないが人影が身に着けているものは赤い色をしていた。
人影に察知されたレニは、ひとまずその場を離れほとぼりを冷ますことにした。

夜明け前、様子を見に戻ったレニは、ボスが殺されその横に罪状を書き連ねた道化の仮面が置かれているのを見つける。

仮面を戻し、レニはその場を立ち去った。

感想
赤い鎧シリーズの第二作目です。
新しいキャラクター、レニが登場します。

彼女は過去、ボスたちと一緒に悪事に手を染めていました。

レニが入ってから殺人はしていないようですが、それ以前は誘拐し身代金だけ奪って、人質を殺害するといった凶悪なこともしていたようです。

レニは作中で本当の悪人の基準は何かランプに問います。
詐欺は許せても、殺人は許せない。
罪の線引きはどうするべきか。

赤い鎧が法を無視し人を殺すことは、相手がいかに凶悪な犯罪者でも正しい事なのか。

色々考えさせられます。

まとめ

今回の作品集はライバルがテーマで執筆されています。
ですが、あまりライバル同士がしのぎを削るといった描写はありません。

それよりも「祝福されざる聖杯に」でのスラム街でのやり取りや「野獣死すべし」における善悪の話が個人的には興味深かったです。

表題作である「虹の舞う海に」も、余り描かれることがない船の話でとても楽しめました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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