メタモルフォーゼの縁側 1
著:鶴谷香央理
出版社:角川書店
75歳の市野井雪と17歳の佐山うらら。
58歳差の二人は一冊のBL漫画が切っ掛けで接点を持ちます。
二年前に夫を亡くし、自宅で書道教室を営んでいる雪。
書店でアルバイトをしている高校生のうらら。
祖母と孫ほど歳の差はあるけれど、二人は友達。
登場人物
市野井雪(いちのい ゆき)
75歳の老婦人
白髪で穏やかな女性。
二年前に夫亡くした未亡人。
家で書道教室を営んでいる。
たまたま手にしたBL漫画「君のことだけ見ていたい」にハマる。
佐山うらら(さやま うらら)
BL好きな女子高生
黒髪おさげの女の子。
書店ブックスナカでバイト中、漫画繋がりで雪と知り合う。
両親は離婚しているらしく、現在は母と暮らしている。
佑真(ゆうま)と咲良(さくら)
BL、君のことだけ見ていたいに登場する男の子たち。
紡(つむぐ)
うららの幼馴染の男子
クラスメイトの英莉(えり)と付き合っているっぽい。
梓(あずさ)
紡の姉
うららの姉貴分的存在。
コメダ優(こめだ ゆう)
君のことだけ見ていたいの作者。
セミロングの女性。
冒頭あらすじ
夏のある日、行きつけの喫茶店が閉店していたため、市野井雪は駅前の本屋に涼みに入る。
そこで表紙の絵に魅かれ、一冊の漫画を手に取る。
購入し、自宅で営む書道教室の授業を終え、食事を作り風呂に入り、二年前に亡くした夫に、今日の出来事を報告する。
いつも通りのサイクルの中、漫画を買った事を思い出し、布団に入り本を開く。
雪が買った漫画は、男子高校生同士の恋愛を描いた所謂BLと呼ばれるものだった。
続きが気になった雪は、病院に出かけるついでに本屋で第二巻を購入した。
物語は二人の小学校時代が描かれていた。
戸惑いつつも物語に入り込み、自分を呼ぶ看護師の声にもしばらく気付かない程だった。
更に続きを購入すべく、雪は漫画を購入した本屋を訪れた。
在庫を探す間、書店員は雪を気遣い椅子を用意してくれた。
残念ながら在庫は無く、本を注文しその日は帰った。
本屋の店員、うららは帰宅し本棚に隠してある段ボールを引っ張りだす。
段ボールの中身には、雪が注文した漫画の第三巻が他の本と共に入っていた。
“貸しましょうかって言いそうになっちゃった…”
そう思いながら、彼女はページをめくった。
感想
BL漫画が題材となっていますが、そこはメインではなく、主眼は歳の離れた二人が、同じものを好きになった事が切っ掛けで知り合い、友達になっていくところだと思います。
年齢も生活スタイルも全く違う二人が、好きなもので盛り上がる。
トクサツガガガの時も思いましたが、同じ趣味の友人との会話はとても楽しく、かけがえのない時間に感じます。
まとめ
雪が刊行ペースから、後何冊読めるか逆算するシーンはゾクリとしました。
死ぬまでに後何冊自分は読めるんだろう。
また自分が死ななくても、作者さんが亡くなり続きが出ることなく終わる。
そんな事を考えてしまいました。
お読みいただき、ありがとうございました。
こちらの作品はコミックNewtypeでも一部無料でお読みいただけます。