アルテ 8 ゼノンコミックス
著:大久保圭
出版社:徳間書店
貴族の娘アルテが画家であるレオの弟子として画家を目指す物語。
ヴェネツィアの画家工房の徒弟、マティの出自と性別が仕事につながってうらやましいという言葉でアルテは悩みます。
しかしカタリーナと彼女を悩ませたマティ自身の言葉で、出自も性別も変えられないアルテ自身の才能の一つであると気付きます。
肖像画を描き終えアルテがフィレンツェへ帰る日も近づいてきました。
冒頭あらすじ
アルテはレオに帰還を知らせる手紙を書いた。
謝肉祭が終わればヴェネツィアを離れる予定だ。
手紙を出し終えたアルテは、カタリーナを探して屋敷を歩いた。
途中、飾れたソフィアの肖像画を見て彼女は満足げに微笑む。
その後、カタリーナとは会えたが彼女は忙しいようで話す事が出来ない。
謝肉祭当日、アルテはようやくカタリーナと会うことが出来た。
部屋にはアルテが描いた肖像画は飾られてはいなかった。
カタリーナはアルテが話そうとするのをさえぎって、別れの言葉は聞きたくないと告げる。
アルテはその言葉に私もと同意し話は二つと切り出した。
一つは、カタリーナがアルテのために怒ってくれた事。
彼女はアルテの事を知らず、女流画家だから仕事が得られたとマティが思ったことにも憤慨したが、出自を気にするアルテにも憤っていた。
生まれや性別は変えられない、それを受け入れるべきだ。
彼女はそう言ってアルテの背中を押した。
そのことに礼を言って、もう一つとアルテは続ける。
アルテはカタリーナに友達になって欲しいと手を差し出した。
いっぱい手紙を書くからカタリーナからもいっぱい手紙が欲しい。
差し出された手をカタリーナは取り、ちゃんと手紙をかきなさいよねとアルテに言った。
カタリーナもねと返し、楽しみにしてると部屋を出ようとするアルテに、彼女は肖像画をとても気に入ったと告げた。
アルテは光栄ですと礼をのべて部屋を後にした。
カタリーナはベットのしたから肖像画を取り出し、それを見つめながら大事にする、私の宝物よと小さく呟いた。
感想
ヴェネツィアから戻ったアルテは再びレオの工房で働き始めました。
ファリエル家での仕事やヴェロニカの口添えで、アルテには肖像画の仕事が入るようになっていました。
肖像画家として注目を集め始めたアルテですが、宗教画などの高尚なものは彼女には描けないと客が話しているのを聞いてしまいます。
そのことで、アルテは画家として自分がどうなりたいのかを改めて考えます。
悩むアルテに答えたレオの言葉は突き放しているようでしたが、彼女自身がどうしたいのかを一番に考えているからだと思いました。
不器用なレオのアルテに対する想いが感じられました。
まとめ
今回は肖像画家として人気が出始めたアルテが、今後どういう仕事をしていきたいのかが描かれました。
それは依頼をうけた自分の器量に悩む、コンチェッタという女性の笑顔に表れていると思います。
お読みいただき、ありがとうございました。