アルテ 6 ゼノンコミックス
著:大久保圭
出版社:徳間書店
貴族の娘アルテが画家であるレオの弟子として画家を目指す物語。
ヴェネツィアでユーリの姪、カタリーナの家庭教師を続けるアルテは、彼女が心を閉ざしている理由は養育地にあったのではないかと感じユーリにそのことを尋ねます。
ユーリは、話す条件としてアルテに仕事の完遂を求めアルテはそれが誰のため何のためなのかを尋ねました。
ユーリはカタリーナの幸せのためと即答します。
アルテはそれならばと仕事の件を承諾しカタリーナの過去を聞くのでした。
冒頭あらすじ
カタリーナは生まれてすぐ乳母のボーナ、その息子ジモとともにヴェネツィアから離れた田園の広がる別荘地に送られた。
その別荘地でカタリーナはボーナを母、ジモを兄のようにして育った。
ボーナはカタリーナに実の娘のように愛情を注ぎ、ジモも彼女を妹のように感じよく世話を焼いていた。
カタリーナは体の弱い母親のソフィアに似ず元気にすくすくと育ち、ジモや周りの子供たちと一緒に駆け回りよく遊んだ。
彼女はボーナたちが行う掃除や洗濯、料理をしたがり使用人のすることだと言っても聞かず、泣いて駄々をこねるのでボーナたちも仕方なく彼女に手伝いをしてもらった。
時折ユーリが様子を見に立ち寄ると、ボーナにユーリがカタリーナを甘やかすから困ると文句を言われる事もあった。
父親のマルタは女であるカタリーナに興味はなく、ソフィアに男子を生ませるため彼女を養育地に留め置いた。
カタリーナが六歳の時、乳母のボーナが病で死んだ。
マルタはソフィアが男子を生んだ事と、乳母が死んだことを機にカタリーナをヴェネツィアに呼び戻した。
ボーナの夫はファリエル家で料理人をしていたが、ジモを連れて屋敷を去った。
ボーナを亡くしジモもいない屋敷でカタリーナが心を開ける相手は、別荘地にもよく顔を出してくれた叔父のユーリだけだった。
感想
ヴェネツィアの屋敷に戻ったカタリーナは、自分を縁談の道具としてしか見ない父と初めて会う母に違和感を感じます。
彼女にとっての家族は愛情を注いでくれたボーナとジモであり、いきなり現れた両親は他人にしか思えなかったようでした。
ボーナはカタリーナが自分を母と呼んだ時、厳しく叱りました。
それはカタリーナの幸せを思っての事でした。
カタリーナは貴族です。
本当の家族の下には苦労の無い幸せ暮らしがある。
ボーナやジモがカタリーナの家族として、彼女の心に残れば重しになってしまうとボーナは考えたのでした。
カタリーナの幸せを考えあえて何も言い残さず、ジモにも会う事を禁じたボーナは本当にカタリーナを愛していたのだなと感じます。
まとめ
今回はカタリーナの過去と、想い、そして彼女が進む道を見つけるまでが描かれました。
カタリーナの事ばかり書きましたが、アルテもマルタやソフィアにもきっぱりと自分の意見を述べ、カタリーナが歩き出すための後押しをします。
次巻ではアルテのヴェネツィアでの仕事もいよいよ大詰めです。
お読みいただき、ありがとうございました。