ミワさんなりすます 6 ビッグコミックススペシャル
著者:青木U平
出版社:小学館
推しの俳優、八海崇(やつみ たかし)の家にエリート家政婦、美羽さくらになりすまし入り込んだ久保田ミワ(くぼた みわ)。
八海や彼のマネージャー、藤浦からも信頼されるようになったミワ。
しかし、憧れのそばにいられ、彼から好意的に思われる喜びとともに、身分を偽っている心苦しさがミワを苛んでいた。
そんな時、名前を騙っている相手、美羽さくらが再び現れ……。
登場人物
五十嵐凛(いがらし りん)
海外で頭角を現した逆輸入女優
セミロングの美女。
ハリウッド等で活動していたためか、日本の年功序列をナンセンスと切り捨てる。
大御所の女優、越乃(こしの)に対してもため口で話すが、その忖度や嘘のない言動は信頼され心に響く。
役に入り込みなり切る事で演じる天才肌の女優。
あらすじ
自分が成りすましているエリート家政婦、美羽さくらと再会したミワ。
同じく八海の大ファンであり、ミワの事情も全て知っているさくら。
彼女がその気になれば、ミワの人生は一瞬で終わってしまう。
新しく築き上げた人間関係も、信頼も、彼女の出方一つで崩壊する。
そう考え脂汗を流すミワに、さくらはカバンから取り出した封筒を差し出した。
あれはもしかして……。
いつか罪悪感に耐えられなくなったミワが真実を記した手紙。
八海に渡される前に、風に攫われたあの手紙ではないか。
だが封筒の中に入っていたのは、さくらの口座に振り込まれていたミワの給料だった。
「受け取れません……!!」
さくらの名を騙り、彼女が本来いるべき場所を奪ったのだ。
お金なんてもらう事は出来ない。
そう言って顔を伏せたミワに、さくらは話を変え八海とのその後を尋ねた。
ミワはさくらに対する後ろめたさから、八海と会食し、バー「らすべがす」での出来事を話した。
大ファンである八海との交流の話にさくらは大興奮していた。
しかし、ミワはさくらの様に単純に喜べなかった。
「怖いんです……」
自分の社会的地位を失う事よりも、推しである八海を裏切り失望させる事。
それがミワは何より怖かった。
「他人の人生を尊重して、敬意を払って――そんな人だものね、ミワさんて」
「そ……そんな……」
「カマトトぶってんじゃね――よ」
我知らず建前を話していたミワを、さくらはそう言って一刀両断に斬り捨てた。
感想
今回はエリート家政婦、美羽さくらとの再会から始まり、本心を暴かれ失いたくなければ、演じ続けるしかないとさくらに告げられたミワ、海外帰りの天才女優、五十嵐凛、凛とベテラン女優越乃彩梅(こしの あやめ)、推し同士のハグのトキメキと失恋、凛とアルタ前で待ち合わせなどが描かれました。
今回はその中でも役になり切るタイプの天才女優、五十嵐凛が印象に残りました。
彼女は裏表がなく、演技についても役というか、その人物になり切る、いえ、その人間として今を生きている感覚で演じる天才肌の女優です。
つまり彼女にとって、役の人生もリアルであり、実際の出来事な感覚で演じているようでした。
また、素の彼女は嘘は言わず、それゆえに彼女の言葉は他者の信頼を得られるようです。
一方で、偽りの自分。美羽さくらを演じ続ける事を課せられたミワ。
嘘のない凛と嘘で固めたミワ。
そんな対照的な二人が今後、どんな関係になるのかが気になります。
まとめ
新たに登場した女優、五十嵐凛。
八海とも親密な様子の凛と共にミワはバー「らすべがす」に向かう事となり……。
次の展開が楽しみです。
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