ブルターニュ花嫁異聞 2 リュウコミックス
著:武原旬志
出版社:徳間書店
寄る年波と怪我により引退を決意した老騎士ラウル・ド・ディナン。
彼の紋章官だったトマは主人ラウルの頼みで、ラウルの知人であるアンドレ・ル・ブローの捜索を始める。
アンドレはブルターニュの古い血筋を持つ騎士。
彼には年頃の娘がおり、その娘と現ブルターニュ公ピエール(宰相)の息子(赤ちゃん)が結婚すれば、公がフランス出身という事で反発するブルターニュ貴族たちも少しはおとなしくなるだろうとラウルは考えたのだ。
そういうわけで、アンドレの捜索を始めたトマだったが、ラウルの知人だったアンドレ・ル・ブローは既に死んでおり、ラウルが公の息子との結婚を考えていた娘は、アンドレを名乗り男装しピエールに復讐を誓うじゃじゃ馬だった。
その後、ピエールの差し金で父を殺されたと思っていたアンドレ(娘)だったが、旅の途中知り合った修道士、ギルベールからアンドレ・ル・ブローという名の者を埋葬したと聞かされる。
それを聞いたアンドレはトマと共に、父、アンドレが埋葬されているというサン・パビュ大聖堂へと足を向ける。
登場人物
フィリップ
リチャード獅子心王の庶子を名乗る青年
黒髪ポニテで顎鬚の男。
父、アンドレの墓と死の巻物(ルーロ・デ・モール)を求め大聖堂へとやってきたアンドレ(娘)に先んじて、アンドレ(父)の死体の処分と死の巻物の奪取を行う。
その剣技と体術はアンドレ(娘)を圧倒する。
院長
サン・パビュ大聖堂の院長
しかめっ面で小太りのおじさん。
元商人らしく、金勘定にうるさい。
厄介事を持ち込むアンドレ達には疎ましさを感じているようだ。
オエル
元ル・ブローの村の住人
鼻ぼくろのおじさん。
かつては村で豆を育てていたが、現在は大聖堂で修道士として暮らしている。
ル・ブロー村での生活を気に入っていたらしく、娘のアンドレにも協力的。
エドモン
アンドレ(娘)が旅の途中に出会った石工
問題の多い人物だが、彼のおかげで世間知らずだったアンドレは世を渡る術を少し学んだようだ。
ジェルヴィーズ・ド・ディナン
トマの主、ラウルが城代を務めるディナンの女主
金髪唇ボクロのグラマラスな女性。
嫁いだ事でディナンを遠縁のラウルに任せたようだ。
夫と紋章の事で喧嘩したようで、実家であるディナンに戻ってきた。
あらすじ
襲撃を受け殺された父、アンドレ・ル・ブロー。
アンドレ(娘)は襲撃者から逃れる事で精一杯で、殺された父がその後、どうなったのか知る事は出来なかった。
そんな父の墓が大聖堂にあると修道士、ギルベールから聞いたアンドレ(娘)。
彼女は埋葬と同時に収められたという、死の巻物(ルーロ・デ・モール)に父が殺される事になった手がかりがあるのではと、トマとギルベールと共に大聖堂を目指し旅を続けていた。
そうして辿り着いた大聖堂は、何者かの襲撃を受けていた。
変事を悟り先行したアンドレは襲撃者の一人に奇襲され、彼女を庇ったトマは額をメイスがかすめその場に崩れ落ちた。
とっさに剣を抜き、アンドレはトマを殴った男に突きを放ちけん制。
そんなアンドレに親し気に話しかけたのは、旅の道中、酒場で出会った男だった。
眉根を寄せ何者だと問うアンドレに、男は爽やかな笑みを浮かべながら、リチャード獅子心王の庶子、フィリップだと名乗った。
感想
今回は冒頭、サン・パビュ大聖堂への旅と酒場での乱闘、大聖堂到着と死の巻物を巡ってのフィリップとの戦い、ギルベールの奮闘と巻物の中身、アンドレ(娘)がトマと出会うまで、ル・ブロー村へ、ラウルが城代を務めるディナンへ等が描かれました。
この巻では誰かの依頼を受けてアンドレ(父)の痕跡を消そうとしていたフィリップの事が印象に残りました。
アンドレ(娘)と同様、父の仇を討ったというフィリップ。
ただ、復讐の成就は彼から平穏な暮らしを奪いました。
恨みを晴らせば、恨みを買う。
特に王族や貴族のような面子を大事にする者にとっては、やられぱなしは家臣に対する体裁もあるように感じました。
家臣たちの面目の為、利用された感のあるフィリップ。
彼が今後、アンドレとどう絡んでいくのか。
そちらも楽しみです。
まとめ
父、アンドレの死についての真相を探るアンドレ(娘)とトマ。
色々、陰謀めいた臭いのする死に真っすぐなアンドレがどう立ち向かうのか。
この巻のラスト、再び現れ父を殺した男に会わせると言ったフィリップの狙いは。
次回の展開が気になります。
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