暁の犬 5 SPコミックス
漫画:高瀬理恵
原作:鳥羽亮
時代考証:山田順子
出版社:リイド社
情婦のお甲(おこう)を餌に誘い出された根岸(ねぎし)は二胴の使い手、川越恭之介(かわごえ きょうのすけ)に斬られた。
依頼人、相良(さがら)の配下である久松(ひさまつ)の働きで佐内と縁を持った娘、満枝(みつえ)は事なきを得るが、距離を置こうとしていた佐内は、彼女が狙われていた事を知り、もう後戻り出来ないほど満枝を巻き込んでいる事を悟るのだった。
登場人物
寺島周助(てらしま しゅうすけ)
大道寺配下の侍
二胴の使い手の一人。
相良が計画した襲撃作戦の際、川越恭之介に勝つために佐内が生み出した技の実験体となる。
あらすじ
満枝を狙っていた狗(いぬ:隠密)の一人、小黒竹弥(おぐろ たけや)は相良配下の久松により始末された。
そんな事があった後、相良は留守居役の藤田から国替反対派の後ろ盾、老中首座の松平伊豆守(まつだいら いずのかみ)死亡の噂を聞く。
藩主と共に国替を推していた家老の拝郷(はいごう)はその噂を聞いた帰途の途中、覆面の侍たちに襲われた。
屋敷に逃げ込み何とか事なきを得たが、国替反対派の大道寺(だいどうじ)は後ろ盾を失い、なりふり構わず政敵を排除する心づもりのようだった。
その襲撃の後、相良は佐内に改めて二胴の使い手、川越恭之介の始末を依頼した。
家老の往来での襲撃。
そんな藩内の内紛が幕府に知られれば、どんな沙汰が下るかしれない。
それを危惧した家老の拝郷は早々に事を終わらせねばと考えたのだ。
佐内としては望む所であったが、口入屋の益子屋は刺客の一人、体術使いの立木野(たちきの)と佐内が組む事を提案した。
立木野は組んでいた犬使いの瓢三(ひょうぞう)を目の前で二胴の遣い手に斬られながらも、何も出来ず逃げる事しか出来なかった事を悔やんでいるらしい。
仕事の後はしばらく身を隠す立木野が協力を口にしたのには、そういう事情もあったようだ。
だが佐内はそんな益子屋の提案に否を唱えた。
川越に襲われてから二胴に対抗するための工夫を重ね、その手ごたえも掴めた。
自分は刺客である前に剣客だ。
複数で取り囲み倒すのではなく、一対一で戦いたい。
邪剣の遣い手であっても、それは川越も同じはず。
そんな佐内の想いを聞いた相良はそれを了承し、立木野の参加も含め計画を進めるのだった。
感想
今回は川越に斬られた刺客の一人、根岸の死から始まり、川越達による拝郷襲撃、満枝が狙われていた事を知り覚悟を決める佐内、坂東の隠れ家襲撃、走狼の太刀、大道寺の屋敷訪問と川越との最終決戦などが描かれました。
この巻では遠ざけようとしていた満枝に、すでに敵の手が伸びていた事を知り、彼女を守るためには事を終わらせるほかない事を佐内が悟ったほか、藩主、水野忠邦(みずの ただくに)が進めようとしている国替に反対する勢力、二本松と大道寺の後ろ盾、松平伊豆守の死の噂により、暗殺ではなく、より直接的な手段に出た大道寺一派の動きが描かれました。
佐内たちの働きで手ごまを失いつつある家老大道寺。
切り札である川越を佐内が斬る事で国替を巡る内紛は収まるのか。
佐内と満枝の未来は。
続きが楽しみです。
まとめ
この巻のラスト、父、小野寺友右衛門(おのでら ともえもん)を斬った因縁の相手、川越恭之介と佐内は対峙します。
二胴を破るために生み出された走狼の太刀。
佐内の剣が川越に届くのか。
次巻が楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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