ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~ 4
角川コミック・エース
著:瀬野反人
出版社:KADOKAWA
引き続き冬、ミノタウロスのモウの家のある集落に到着した言語学者のハカバと、案内役のハーフワーウルフの少女ススキ。
ハカバはモウの家に滞在しながら、モノを叩いた時のリズムで会話するラミアや、獣人達の独特な感覚に悩みながら、彼らとの親交を深めていく。
登場人物
ハカバの曾祖母
ある部族の言語を喋る最後の一人だった。
その言葉で会話出来る者がおらず、その事に寂しさを感じながら亡くなった。
集落への案内人
ハーピィとリザードマンのハーフ
移動の最中、骨折した。
ハカバは世話になった礼にと彼女の世話を焼く。
エンコバナ
人と魔物のハーフ
巨大な蚊に似た虫を捕まえるのを指揮していた。
人語を話せるがやはり彼(彼女)も魔界の住人であり、その感覚は人とはズレている。
あらすじ
モウの家のある集落に辿り着いたハカバは、そこで残りの冬を過ごす事にした。
目的地である場所は、集落から更に山に分け入った所にある様だが、集落に案内してくれた恐らく、ハーピィとリザードマンのハーフの獣人も滑落して骨折してしまった。
恐らく自分では、滑り落ちて死んでしまうだろう事が予想できたからだ。
そんな理由で集落に滞在するハカバだったが、集落の住民との間に距離を感じていた。
ススキなどは、集落に住むミノタウロスの子供と仲良く遊んでいるというのに、自分は上手くコミュニケーションを取る事さえ出来ない。
その事で、ハカバは師匠である教授の言葉を思い出す。
ハカバは人ではなく、言葉そのものに興味を持っている。
他者に興味を持てないから、相手も自分に興味を持ってくれないのだ。
その事を反省したハカバは、この集落に案内してくれた足の骨を折ったハーフの獣人の世話を恩返しとして焼き始めるのだった。
感想
今回はミノタウロスのモウの住む集落でのハーフの獣人の世話から始まり、洞窟での狩り、人語を話すエンコバナとの出会い、創作と魔界の住人等が描かれました。
その中でも作り話に対する、ススキたちの反応が興味深かったです。
彼らはハカバが作った話を、現実に起こった事と認識していた様でした。
なので、話の中に自分が登場すると、記憶との齟齬からか酷く混乱していました。
物語をフィクションとして認識出来ない。
彼らにとってのお話や物語は自分の経験や実際に起きた事であり、嘘の話、作り話に価値を見出していない様でした。
物語を共有する事での共同体意識が無く、何処まで行っても個人主義。
他者に対する気遣いはあっても、何というか全員、スタンドアローンで生きている、エピソードを読んでいてそんな印象を受けました。
まとめ
今回、魔界が国家の体を成していない事にハカバは気付きました。
ハカバはススキの母、枯草の願い「皆で一緒に暮らす」を実現できるのか。次巻も楽しみです。
この作品は、ヤングエースUPにて無料で閲覧いただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。