矢野くんの普通の日々 5 モーニングKC
著:田村結衣
出版社:講談社
矢野(やの)の中学時代の知り合い、岡本。
高二で転校してきた彼女はまだ友人が出来ないようで、中学時代、交流のあった矢野に近づく。
しかし、矢野は自分にはかかわらない方がいいと岡本を遠ざけるような言葉を返した。
「……やっぱり矢野、まだあのこと…………呪いのこと、気にしてるんだ…………」
そんな岡本の言葉を聞いてしまった清子は、呪いの事が気になり……。
登場人物
矢野の母
黒髪ショートの女性
清子の事を気に入るが、矢野と清子が付き合っている事は知らない。
メイの母
清子の親友、メイの母親
ゆるふわロングの女性。
メイに誰かと恋愛するようなごく一般的な青春を求めるが、メイ自身は友人と楽しくやっている方があっているようだ。
あらすじ
矢野の中学時代の知人、岡本。
彼女が口にした呪いの事が気になって仕方ない清子は、その日の帰り道、矢野と一緒に帰りながら呪いの事を彼に聞いた。
……中学の時の話なんだけど……。
岡本と話すようになったのは、彼女がドミノ倒しにしてしまった自転車を起こすのを手伝ったのがきっかけだった。
結局、ペダルに足を引っかけ、自転車と一緒に倒れたりしたが、岡本は手伝った事自体は好意的に受け取ってくれたようだった。
そんな風に矢野の事が気になり始めた岡本だったが、怪我の絶えない矢野についてクラスでは呪われているんじゃないかと噂が囁かれていた。
そんなある日、その日は文化祭。
一緒にはしゃぐ友人のいない岡本は、早く帰りたいと一人思っていた。
そんな時、一人で絵を見ていた矢野を見つける。
「ひ……一人で回ってるの?」
「うん、美術部の展示だけでも見たくて」
矢野はこの後、休憩スペースで過ごそうと考えているらしい。
ボッチな岡本は思わず、自分もそうしようと思っていたと口にし、彼と一緒に校庭のベンチに腰掛けた。
矢野もこういう行事が苦手なの?
岡本の問いかけに矢野は首を振った。
彼は文化祭などの学校行事については好きだが、自分が怪我する事で周囲の楽しい雰囲気を壊す事を申し訳なく感じていて、極力じっとしている事にしているようだ。
矢野は自分と同類の人見知りのコミュ障ではなかった。
ただ、せっかくこうして話す機会を得られたのだしと、岡本は気になっていた眼帯について聞いてみた。
彼は左右の目の色が違うらしく、それを指摘されるのが恥ずかしくなったようで、学校では眼帯でかくしているそうだ。
「色違うって……!? …………眼帯取った顔、見てみたい」
「まぁ、一瞬だけなら……」
そういって眼帯を取った矢野を、岡本はとてもいいと感じた。
その後、岡本はベンチを占領するのは良くないと、出店に矢野を誘い、二人は生徒によって飾り付けされた校内を巡ろうと腰を上げた。
二人歩きながら、矢野は眼帯を外している方がいいと岡本は告げ、矢野も文化祭が終わったら、また外して登校してみようかなぁと笑みを見せた。
そんな二人に文化祭の看板が倒れてきて……。
翌日、眼帯を外して登校した矢野だったが、クラスでは岡本が看板で怪我(かすり傷)をしたのは、矢野の右目を見て呪われたからだと噂が広まっていた。
感想
今回は冒頭、矢野の右目の呪いの噂と、その呪いを自分で信じてしまっている矢野から始まり、呪いの払拭、清子たちと岡本、矢野親子と猫カフェ、泉(いずみ)と矢野と恋バナと、清子とアイドル、メイと恋愛とギター、修学旅行の計画などが描かれました。
今回はその中でも、自分の気持ちに気付いた矢野達の友人、泉のエピソードが印象に残りました。
泉と幼馴染の羽柴は、軽口を言い合う関係で、仲は良くても昔からの友人という状態でした。
泉自身、羽柴とは幼馴染なだけで、全然タイプではないと公言していました。
しかし、この巻では友人だと思っていた羽柴への気持ちに気付いてしまい……。
清子と矢野を応援しながら、まだ清子の事が好きなままの羽柴。
そんな羽柴を好きだと気付いた泉。
その気持ちはしまっておこうと決めた泉ですが……。
彼女の恋がどうなるのか、今後が楽しみです。
まとめ
この巻では、泉の他、清子の親友であるメイの恋愛観についても描かれました。
彼女は現状、色恋にさほど興味はなく、それよりは友達とワイワイやっているのが楽しいようです。
そんなメイのエピソードでは、いつもクールな印象の彼女が赤面したり、笑顔を見せたりしていたのがなんだか可愛かったです。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。