ひらやすみ 5 ビッグコミック
著:真造圭伍
出版社:小学館
知り合いの婆ちゃんから彼女の死後、住んでいた平屋を譲り受けた元俳優で現在はフリーター(釣り堀バイト)の生田ヒロト。
そのヒロトの家に下宿している従妹の美大生、なつみ。
二人とその周辺の暮らしを描いた作品、第四巻。
ヒロトの家の管理をしている不動産会社勤務のOL立花よもぎは、部屋を紹介した小説家の石川リョウから、本の感想が聞きたいと家に誘われ……。
登場人物
鬼龍院アキト(きりゅういん あきと)
ヒロトの友人、ヒデキの務める家具店の後輩社員
七三ほくろの男。
本店の若手エリートで成績の悪いヒデキにきつく当たる。
江藤(えとう)
釣り堀の店長
眼鏡熊髭のおじさん。
ヒロトとはキャンプ仲間。
仕事を増やしたヒロトの事を心配している。
あらすじ
最近、家に顔を出さないヒロトの友人ヒデキ。
彼は現在、精神的に追い詰められていた。
家では哺乳瓶を洗わなかった事で妻に激怒され、会社では優秀な後輩に嫌味全開で注意される日々。
そんな日々でもヒデキは守るものがあると踏ん張っていた。
その嫌味な後輩、鬼龍院にカラ元気で返事をし、倉庫で商品紹介の記事を書く。
キーボードに指を走らせるヒデキの脳裏には、高校時代の楽しかった日々が思い出されていた。
全てが輝いていたあの頃。
何でも出来ると思っていた過去、何も出来ない今。
そんな現実がヒデキを追い詰め、瞳には涙が滲んだ。
そうして一人倉庫で泣くヒデキのスマホに着信が入る。
画面にはレモンサワー片手に楽しそうに笑うヒロトが写っていた。
俺は頑張ってるのに、なんで怠けてるお前の方が楽しそうなんだよ。
そう感じたヒデキは親友だったはずのヒロトを、気が付けばブロックしていた。
感想
今回は私生活と会社で追いつめられたヒデキのエピソードから始まり、ミニマリストの小説家、石川と片付けられない女、立花、なつみと桜とヒロトのいない日、お花見とお疲れなヒロト、あかりと山田の交際と二人との距離、限界なヒデキと釣り堀の夜、妙に縁のあるヒロトと立花などが描かれました。
今回はその中でも頑張りすぎて壊れる寸前だったヒデキが印象に残りました。
世の中には鬼龍院のようにガンガン働ける人間もいますが、彼のような存在は一部であり、ほとんどの人は自分の出来る事を精一杯こなし、働いているのではないでしょうか。
鬼龍院を基準にすれば、当然、落ちこぼれる者も出てくるわけで……。
追い込まれ死を考え始めたヒデキ、そして働きすぎで倒れたヒロトなど、頑張りすぎたら人間やっぱダメだよなぁと感じるエピソードでした。
まとめ
この巻の終盤、ヒロトは仕事のし過ぎで失神し倒れてしまいました。
その事でヒロトは少しのんびりするのでしょうか。
仕事を辞めたヒデキの事も含め、次巻の展開が気になります。
この作品はビッグコミックBROS.NETにて第一話が無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。