ヴィンランド・サガ10 アフタヌーンKC
作:幸村誠
出版社:講談社
11世紀のヴァイキングをモチーフに描かれる物語。
ケティルの農場で、開墾作業を続けるトルフィンとエイナル。
彼らは偏屈な老人スヴェルケルと出会います。
労働の対価として馬を借りた二人の開墾作業は大いに捗りました。
馬を返しに行く道すがら、奉公人たちにからまれたトルフィンたちは馬の所有者、スヴェルケルという老人が、先代の当主、ケティルの父である大旦那様だという事を知ります。
冒頭部分 あらすじ
スヴェルケルの作業を手伝う二人は、スヴェルケルとケティルが話しているのを耳にする。
その後、スヴェルケルの家で食事を取りながら、寝ていた蛇も加わり話をする。
蛇は農場の規模に対して、守りが少ないと話し、スヴェルケルは、ケティルは王に貢物をして、保護を受けているが、自分の力で守れない程の農地は必要ないと語る。
大きすぎる富は災いを呼ぶ、トルフィンはスヴェルケルの言葉で何かを学んだ気がした。
季節は流れ十月、二人は自身が開墾した畑に麦を巻いていた。
それから一月後、彼らの畑は麦が芽吹いていた。
素直にすごいというトルフィンに、エイナルは自由への第一歩だと告げた。
そんな生活のなかで、トルフィンは相変わらずうなされていた。
感想
作中でトルフィンがうなされ続ける理由は、見る夢の所為でした。
彼が今まで戦場で関わった人間が殺し合う、地獄のような場所の夢を彼はずっと見ていたのです。
いつもは忘れてしまうそれを、はっきりと認識した彼は、自らが殺した者の名前も素性も分からない。
自分がしてきたことの業の深さを覚り、彼は涙を流し謝罪します。
夢の中でアシェラッドはトルフィンに、殺した者をつれて本当の戦いを戦えと叫びます。本当の戦士になれトルフィンと。
目覚めたトルフィンは、暴力と決別し生まれかわることを誓います。
この巻では、トルフィンに不器用に生き方を示すスヴェルケルや、夢の中に出てきて、トルフィンの背中を押すアシェラッドが、とても良いです。
まとめ
復讐がなくなったら、カラッポ。
そう語るトルフィンにスヴェルケルは、カラッポなら何でも入ると話します。
生きる気力を無くし、抜け殻の様だったトルフィンが再生を始める巻でした。
お読みいただき、ありがとうございました。
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