妻、小学生になる。 14 芳文社コミックス
作:村田椰融
出版社:芳文社
小学生、白石万理華(しらいし まりか)の人生を奪っている。
その事に気付いた圭介(けいすけ)と貴恵(たかえ)は、深く言葉を交わす事無く、互いに貴恵が万理華の肉体を離れ成仏出来る道を探し始めた。
その方法として圭介は部下であり、自分に好意を抱いている守屋(もりや)との交際を始める。
そんな圭介の行動を知った娘の麻衣(まい)は憤り……。
あらすじ
圭介の行動が信じられず、思わず家を飛び出した麻衣。
彼女は貴恵と会い、今の状態が生まれ変わりではなく、小学生、万理華の肉体に死んだ貴恵の魂が憑依しているのだと、貴恵本人から聞く。
貴恵は圭介の行動は裏切りではなく、それしか選択肢がなかったのだと麻衣に話した。
しかし、もう一度、大好きな母親と別れる事は麻衣には耐えがたい事だった。
「二回別れを味わうんじゃない。一回の再会を与えられたのよ。本当はあり得なかったはずの」
「……それでも……」
自分には貴恵が必要だ。
そう言う麻衣に貴恵は思い出の中、麻衣が自転車の補助輪を外しやがて自転車に乗れるようになった事を話し、自分の死によって暗く生きていた圭介と麻衣の補助輪だったのだと告げ、その役割は果たしたと語った。
母、貴恵の思いを聞いた麻衣だったが、やはり母との別れは簡単に受け入れる事は出来なかった。
感想
今回は冒頭、麻衣と貴恵の対話から始まり、蓮司(れんじ)と麻衣と人の死について、圭介への麻衣のお願いと願いの拒絶、貴恵の死を受け入れ前に進む圭介と麻衣、プロポーズと消える魂、消えた妻と夢でのお別れ、それからなどが描かれました。
死んだ妻が小学生となって戻ってくる。
そんなこの物語もこの巻で完結。
この最終巻を読むまで、圭介たちがどんな選択をするのか。
貴恵が消えずに万理華の人生も奪わない方法はないのかとか、色々想像していました。
ただ、そんな都合のいい方法はなく、貴恵は夕暮れの光の中、消えていきました。
死は誰にでも平等に訪れ、命は一つしかない。
その一つしかない命をどう使い生きるか。
消える貴恵を見ていてそんな事を思いました。
まとめ
貴恵が消える事は読んでいてとても寂しく感じました。
しかし、それを乗り越え生きていく圭介たちを見ていると、人はそうやって命のバトンを渡しながら、人生を紡いでいくのだと思いました。
すべてを読み終えた後、過去ではなく未来という光を感じる作品でした。
こちらの作品はピッコマでも一部無料で閲覧できます。
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お読みいただき、ありがとうございました。