葬送のフリーレン 10 少年サンデーコミックス
原作:山田鐘人
作画:アベツカサ
出版社:小学館
様々な依頼を受けながら北部高原を旅するフリーレン達。
デイーアゴルゼ(万物を黄金に変える魔法)により黄金に変えられた街ヴァイゼ。
その魔法の使い手、黄金郷のマハトを倒すため、フリーレンは老魔法使いデンケンに協力し百年に及ぶマハトの記憶の解析を始める。
登場人物
ソリテール
大魔族の一人
緑色の長い髪と額に二本の角を持つ少女の姿の魔族。
人間に興味を持ち研究している。
人間の魔法についても研究しており、攻撃から防御魔法まで苦も無く使いこなす。
人類の感情を理解しようとしたマハトに協力する。
全知のシュラハト
未来を視ることが出来る七崩賢の一人
頭の横に二本の太い角を持つ黒い瞳の魔族。
南の勇者の手数を減らすため、マハトに協力を要請した。
グリュック
ヴァイゼ領の領主
金髪黒眉の男性。
領主ではあるが領地運営に関わる貴族の腐敗により、グリュック自身はお飾りの領主だった。
正義感の強い息子がヴァイゼを実質的に支配していた貴族たちに直訴し謀殺された事で、彼の意志を引き継ぎヴァイゼを民の生きやすい場所に変えようとしていた。
マハトに襲われ、彼にある取引を持ち掛ける。
レクテューレ
グリュックの娘、デンケンの妻
両親を失い親戚だったグリュックに引き取られたデンケンと幼少時代から共に過ごし、やがて軍属の魔法使いとして功績をあげたデンケンと結婚した。
体が弱く若くして亡くなった。
あらすじ
人間を研究している魔族、ソリテールは言う。
自分たちが言葉を理解し、人に似た容姿をしているのは人を欺き効率的に人を喰らうためだと。
人を欺くたびに心を痛めていたら、魔族はとうの昔に絶滅している。
自分たちと人間は姿形こそ似ていても、完全な別物なのだ。
それでも人間の感情が理解出来れば、人間と共存することが可能かもしれない。
そう考えたマハトだったが、どれだけ人を殺めても何の感情も沸いては来なかった。
見ず知らずの人間ではなく、もっと近しい存在なら違うのかもしれない。
そう思い向かった先、城塞都市ヴァイゼでマハトはヴァイゼの領主、グリュックと出会った。
感想
今回は魔法使いエーデルが読み取ったマハトの記憶から始まり、ヴァイゼ領主グリュックとマハトの出会い、腐敗の排除とヴァイゼの復興、デンケンとマハト、黄金都市と封印、記憶の解析と封印の解析、ソリテール対フェルンとシュタルク、デンケンとマハト等が描かれました。
今回はその中でもグリュックとマハトの関係性が印象に残りました。
グリュックはマハトに人間の感情を教えることと引き換えに、マハトに仕事をしてほしいと持ち掛けます。
マハトはその提案を受け入れ、表向きはグリュックの部下として腐敗した貴族の排除や、同族である魔王軍残党のせん滅を行いヴァイゼの街に活気を取り戻しました。
二人は傍目からは信頼で結ばれた主従のように見えた事でしょう。
ですが、グリュックが老いるまで共に時間を過ごしながらも、マハトの心には何も湧き上がるものはありませんでした。
人におもねり、気遣う様子を見せながらも、その実、心は何も動いていない。
それはまるでプログラムにより感情があるように見せるAIのようだなとグリュックとマハトの会話を見ていて感じました。
まとめ
この巻の終盤、マハトの放ったデイーアゴルゼにより、フェルンとシュタルク、そしてデンケンも黄金へとその身を変えました。
記憶の解析が終わったフリーレンはデイーアゴルゼを解除出来るのか。
ソリテールとマハト、強大な力を持つ二人の魔族に彼女がどう立ち向かうのか、次巻も読むのが楽しみです。
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