あかね噺(ばなし) 5 ジャンプコミックス
原作:末永祐樹
作画:馬上鷹将
出版社:集英社
二つ目である事を笠に着て、前座の朱音(あかね)に難癖をつけた男、今昔庵りゑン(こんじゃくあん りえん)。
その鼻を明かそうと立て前座の今昔亭朝がお(こんじゃくてい あさがお)は朱音を高座の始まり、開口一番に指名した。
登場人物
柏家禄郎(かしわや ろくろう)
落語連盟の幹部の一人、柏家三禄(かしわや みろく)の弟子
黒髪くせ毛の青年。
最も勢いのある二つ目の一人として注目を集める。
後輩思いで下からも慕われている。
落語を言葉による音楽で表現、そのリズムによって客を魅了する。
椿家八正(つばきや はっしょう)
朱音が噺を教えてもらおうとした噺家
白髪丸眼鏡の壮年男性。
暖かい語り口で高座全体を包み込む。
蘭彩歌まゆら(らんさいか まゆら)
うららの弟子、二つ目
黒髪ショートで日焼けした肌の女性。
師匠にほれ込み、彼女のために大量の荷物を持ち運んでいる。
蘭彩歌しゃ楽(らんさいか しゃらく)
落語連盟の幹部の一人、蘭彩歌うらら(らんさいか うらら)の師匠
白髪短髪の老人。
天朱廓(てんしゅかく)と呼ばれ、廓の名手と呼ばれた名人。
自身の芸を継承出来る者はいないと、弟子を取るつもりはなかったがうららと出会い、彼女が語る芸を見たいとうららを弟子にした。
あらすじ
開口一番として高座に上がった朱音が選んだ演目は山号寺号。
比叡山延暦寺、成田山新勝寺など、寺には山号と寺号がついている。
どこにでも山号と寺号はある。
そう言った太鼓持ちに、若旦那は寺に関係のない土地についても山号寺号を求める。
それに太鼓持ちがひねり出した答えを返す。
そんな噺だ。
朱音は前座という事で興味のなかった客を引き込み、出したお茶に出涸らしだと難癖をつけたりゑンを揶揄するネタを盛り込み、客を笑わせた。
当然、りゑンは朱音に文句を言うが、やられぱなしでいられる性分じゃないと朱音は涼しい顔で返した。
そんな更に揉めそうな二人の間に二つ目でも注目株の柏家禄郎が割って入り、その場は何とか穏便に収まった。
ただ、朱音が立場が上のりゑンに逆らった事、その手段に落語を使った事はほかの噺家にも伝わっていき……。
感想
今回は冒頭、りゑンへの意趣返しから始まり、朱音の近々の課題である前座噺の習得、師匠、志ぐま以外から噺を教わる、女性噺家、蘭彩歌うららと麒麟児、柏家禄郎などが描かれました。
これまでその噺の上手さで乗り切ってきた朱音に発覚した弱点、持ちネタの少なさ。
師匠志ぐまは敢えて五つに絞ったようですが、前座に上がるためにはネタが被る(同じネタでなくても、展開的に似たものはNG)のはご法度。
そのため、朱音は志ぐまの許しを得てほかの師匠から噺を教わる事になりました。
しかし、冒頭のりゑンとの一件で八正には断られ……。
立場を利用し、理不尽な言いがかりをつけるりゑンの鼻を明かす展開は読者としてはスカッとしましたが、八正が言うように噺家としてその手段に落語を使ったのは確かに褒められた事ではなかったように感じました。
その事を反省し、禄郎と八正の二人会の前座のため、うららから噺を教わる事になった朱音。
女性が演じるのは難しいとされる廓噺。
うららから下ろされたそれを朱音がどう演じるのか。
読むのが楽しみです。
まとめ
朱音が演れる前座噺が五本しかないというのは意外でした。
次巻はうららとの稽古の様子が描かれるのでしょうか。
師匠の志ぐまを志ぐまくんと呼ぶうらら。
彼女が一体いくつなのか、そちらも気になるところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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