テオと止まり木のシュカ 1 マッグガーデンコミックスavarusシリーズ
著:イシコ
出版社:マッグガーデン
頭部は蜥蜴、前足は鳥、下半身は哺乳類の不思議な生き物サルワシ。
そのサルワシと共に暮らす少数部族トマリギ族。
彼らの文化を世に広め、保護しようと活動している先生と一緒にそのトマリギ族の村を訪れたテオは新たにサルワシを与えられる六歳の少女、クヌシュカと出会う。
その九年後、二人は再会し……。
登場人物
テオドール
鳥と心を通わせられる青年
眼鏡にそばかすの青年。
昔は整った顔立ちと長い髪だった為、クヌシュカからは女の子と思われ憧れられていた。
故郷では人に興味が持てなかった。
母親と友人の関係を知り、ショックを受け街を彷徨っていた時、偶然、先生が開いていたトマリギ族の写真展を見る。
クヌシュカ
トマリギ族の少女
浅黒い肌に黒髪の元気な女の子。
サルワシを貰う儀式の日にテオと出会う。
テオの母親
夫が亡くなり着飾って夜な夜な酒を飲み歩く様になった。
現在は父親の遺産を食いつぶしながら生活している。
自分の父親と同様、鳥と心を通わせるテオを気味悪がり、その力を呪いだと蔑んだ。
テオの唯一の友人と肉体関係を持った。
先生
少数民族トマリギ族の研究者
丸眼鏡にシルクハットの男性。
狂暴だという偏見で狩られ、数を減らすサルワシ。
そのサルワシの減少で同様に数を減らしているトマリギ族。
その二つの種族を守る為、彼らの文化を撮影研究し、世に広め保護を訴えている。
トゥヤナ
クヌシュカの村長の娘
黒髪糸目の女性
テオとクヌシュカを生暖かく見守っている。
ガイドのマエダとは恋仲のようだ。
マエダ
祖父からガイド役を引き継いだ男
浅黒い肌に無精ひげでサングラスの男。
トゥヤナのサルワシに認められていない為、結婚は出来ていない。
あらすじ
唯一の友人だと思っていた年上の少年と母が関係している事を知ったテオドールは、ショックを受け夜の街を彷徨う。
家に帰りたくないテオは、補導されない様に何処かに入ろうと考えたテオを鳥が導き、彼はサルワシ写真展の案内板を見つけた。
その案内板に導かれ向かった先で、彼は一枚の写真を目にする。
謎多き生き物、サルワシと共存する部族、トマリギ族。
そのトマリギ族の女性の横顔を写した写真にテオの目は釘付けになった。
そんなテオに写真展を開いた男性、先生が語り掛ける。
テオが見ていたのはトマリギ族のシャーマン。
彼女は博識で勇敢で、強い信念を持った女性だという。
サルワシとトマリギ族の関係はよく分かっていないが、サルワシの数が減った事でトマリギ族の人口が減少した事は事実だ。
彼女たちはたとえトマリギ族が消えても、サルワシだけは後世に残したいのだという。
先生と名乗った男は自分はそれを知ってしまった。
知ってしまったからには、働きかける人間でありたい。
だから自分はサルワシの研究を始めた。
少数だからといってないがしろにされて良いはずがない。
多くの人が知るべきなんです。
そう言った先生にかなり強引に導かれ、テオはトマリギ族の集落を訪れる事になった。
感想
作品はサルワシという熊よりも強い生き物と暮らす少数民族、トマリギ族の少女、クヌシュカとサルワシの研究者、先生に連れられた少年、テオドールが出会う所から始まり、その九年後、再会した二人の様子に続いていきます。
主人公の一人、テオは人に興味がなく、表面上は穏やかですが鳥に頼んで密猟者を襲わせるといった過激な一面もあったりします。
また、過去の事で色々傷付いているようです。
そんなテオはクヌシュカの求婚を年齢を理由に断ったりしていて……。
閉じた少数民族、トマリギ族の文化。
穏やかで優しく、それでいて賑やかな彼らの暮らしを見ていると、何だか心が癒されていく気がします。
まとめ
絵が本当に素敵で可愛くて、物語もとても愛おしい作品でした。
今後、テオとクヌシュカはどうなるのか。早く続きが読みたいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
この作品はMAGCOMIにて一部無料でお読みいただけます。