アルテ 17 ゼノンコミックス
著:大久保圭
出版社:徳間書店
戦争の影響でアルテに冤罪をかけたシルヴィオ枢機卿はフィレンツェを逃げした。
アルテは今なら罪人の自分でもフィレンツェに潜り込めると、イレーネの雇った傭兵のグイド達と共に海路でジェノバへと向かう。
しかし、その航海の途中、アルテの乗ったガレー船は海賊の襲撃に遭い、護衛の一人、パコは流れ矢によって死亡してしまう。
人の死を目の当たりにしたアルテは、グイドに一人でフィレンツェに向かう事を宣言するが……。
登場人物
グイド
アルテの護衛役のリーダー
黒髪の青年。
イレーネからの高額の報酬の他、彼女とのつながりを強化し、育ての親であるオヤジのため、ヴェラクルス島に渡る為の委任状を手に入れようとしている。
フランコ
アルテの護衛役の一人
金髪でよく笑う青年。
護衛役のリーダー、グイドの昔馴染。
感が良く航海中、海賊船をいち早く見つけた。
セシリオ
アルテの護衛役の一人
バンダナ髯の男。
バルバリー海賊の使う曲刀を愛用している。
パコ
アルテの護衛役の一人
金髪糸目の青年。
護衛役の三人は全員、気さくなアルテとすぐ打ち解けた。
流れ矢を受けアルテの目の前で死亡した。
あらすじ
海賊の襲撃から何とか逃れジェノバへとたどり着いたアルテ達。
しかし護衛の一人、パコの死はアルテの心に迷いを生んだ。
自分はレオに会いたい一心で、危険なフィレンツェへ向かおうとしている。
そんな自分勝手な理由に他人を巻き込んでいいのか?
そう考えたアルテはグイドにフィレンツェへは一人で行くと告げた。
そんなアルテにグイドは苛立ちを見せる。
グイドをはじめ、フランコもセシリオも、そして死んだパコも覚悟の上で仕事を引き受けた。
命がけなのは最初から分かっている。
自分たちを買うという事は、命を買うという事。
覚悟はできている。舐めるな。
そうアルテに宣言し、グイドは背中を向けた。
「それから、俺たちを雇ったのはアンタじゃない、王妃様だ。アンタの命令じゃ俺たちは動かない」
そう言って部屋を去るグイドの背中を、アルテは静かに見つめていた。
感想
今回は一人でフィレンツェ向かうと言い出したアルテと、その事にいら立つグイドから始まり、グイド達の仕事、傭兵と略奪、アルテの身の上と生きる術、ダーチャ達との再会、ダーチャとアンジェロの結婚とレオの居場所などが描かれました。
今回はその中でも仕事とその術についてのお話が印象に残りました。
アルテはレオから教わった技術で、ポルトガルの宮廷画家としての地位を築きました。
グイドは彼を拾ったオヤジから盗んだ武器の扱いと操船技術で、荒事で生きていく術を身に着けました。
また、イタリアで再会したダーチャはアルテに教わった読み書き計算で、夫であるアンジェロを助け生活していました。
金銭という意味の財産ではなく、知識や経験、それによって得た技術、身に着けたものという意味での財産。
それは誰にも奪うことは出来ず、生きる上での道を切り開いてくれる。
今回収録されたエピソードを読んでいて、そんな事を思いました。
まとめ
他の都市が皇帝側につくなか、フィレンツェだけは徹底抗戦の構えを見せ、危険な状態となっています。
そんなフィレンツェに居続けるレオ。
アルテは激戦地であるフィレンツェに辿り着けるのか。
次巻も楽しみです。
この作品はコミックゼノン公式サイトで第一話が無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。