よみがえる子猫たち 2 MeDu COMICS
著:山うた
出版社:ジーオーティー
死者を蘇生させる事が出来るが、暴走し人食いの怪物となる可能性を孕む「よみがえり」。
そのよりがえりを駆除する仕事を行っていた少年、朝井おん(あさい おん)は相棒の少女、影山ひなた(かげやま ひなた)を仕事の最中に失い、ターゲットの持っていた照射機を使いひなたをよみがえりとして蘇生させた。
その事を上司であり、保護者でもある曽我(そが)にも、ひなた本人にも言えないままおんは仕事を続け……。
登場人物
小田切律(おだぎり りつ)
警視庁よみがえり対策課警部補
黒髪短髪で涙黒子の男(29)。
曽我の同級生。
彼を追って警視庁に入ったが、曽我はすでに退職していた。
立花あゆみ(たちばな あゆみ)
曽我の幼馴染で恋人だった女性
ショートカットでそばかすの女の子。
曽我より三歳年上でライターとして働いていたが、会社の上司が触手状の怪物に変わり、下半身を食われ死亡した。
その後、彼女の遺体は「黄泉の箱庭」という新興宗教組織に奪われる。
雄介(ゆうすけ)
黒髪眼鏡の中年男性
照射機でよみがえったようだが母親に会いにいく前に、おん達の後輩、タロとジロに発見され……。
あらすじ
暴走し触手のバケモノとなった老人。
住宅街で暴れるその老人の孫娘もすでによみがえりとなっていた。
おんの検査機の反応でその事に気付いた曽我は、まだ幼い孫娘に爆弾を背負わせ無理やり老人の下へと向かわせた。
その後、老人が孫娘に反応し彼女を食べようと大口開け、顔を近づけた所で爆弾のスイッチは押され、老人と孫娘は同時にバラバラになった。
その一部始終を見ていたおんは、過呼吸を起こしそのまま意識を失った。
やがて病院で意識を取り戻したおんは、ベッドの横でおんの目覚めを待っていたひなたと共に、上司である曽我の過去をカーテン越しに聞く事になり……。
感想
今回は触手の怪物となった老人とその孫娘の一件から始まり、おん達の上司兼保護者である曽我の過去、プールでの怪物騒ぎとひなたの怪我、逃亡を決意したおん等が描かれました。
その中でも今回は恋人を亡くした曽我の過去が印象に残りました。
幼い少女であっても、よみがえりだと判明すれば人間爆弾として使う事に一切の躊躇のない曽我。
彼がそれほどよみがえりを憎み、排除に迷いがない理由。
それは曽我が恋人のあゆみをよみがえりに殺され、その遺体を奪われ、その後、警察の力で遺体の行方を捜し新興宗教に潜入し、蘇生したあゆみと再会。
再会時には意識のあったあゆみでしたが、その後すぐに怪物化。
曽我はあゆみに銃を向ける事が出来ず、左足を捥がれそのまま死んでもいいと思いますが、教団幹部の子供、おんとひなたを守るため、あゆみとの約束のため、彼女の頭を撃ち抜きました。
互いに愛し合い将来を誓った女性を曽我は自ら殺しました。
それは彼女との約束、自分が間違った道に進みそうになったら、止めて欲しいというものがありました。
曽我がよみがえりを許さない理由。
それは、暴走したよみがえりが生前の想いに関係なく、その意思を無視して人を襲う怪物になること。
そんな怪物を作り出す者たちが許せないからだろう。
曽我のエピソードを読んでいて、そんな事を思いました。
まとめ
この巻のラスト、おんはひなたを連れて曽我の下から逃げ出しました。
銃器の扱いに長け、高い戦闘能力を持ちますが、十一歳の少年であるおん。
そんな彼が一つ上の少女、ひなたを守り逃げ続ける事が出来るのか。
次巻の展開が気になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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