漫画

空挺ドラゴンズ 第一巻 あらすじ・感想等

投稿日:2019年3月21日 更新日:

雲
空挺ドラゴンズ 1 アフタヌーンKC

著:桑原太矩
出版社:講談社

空を泳ぐ龍を求め、旅をしながら龍を狩る「龍(おろち)捕り」たちのお話です。

龍捕りとは、捕龍船とよばれる飛行船で龍を探し、それを捕獲し肉や油を売って収入を得ています。
現実社会では、捕鯨船のイメージが当てはまるでしょうか。

飛行船「クイン・ザザ号」に搭乗する龍捕りのミカは、美味い龍の肉を食べるために乗り込んでいる腕の立つ龍捕りです。

龍の肉は架空の物なので、味は想像するしかないのですが、登場する料理のレシピも収録されており、肉を牛豚鳥に置き換えれば味わう事も可能です。

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第1話 クイン・ザザ あらすじ1

雲海の側を飛行船が飛んでいる。
デッキに立つゴーグルをつけた乗組員の視線は、船から伸びるワイヤーの先、雲の中を泳ぐ生物に向けられていた。

男が独りワイヤーに命綱をつけている。

「あばれ過ぎると、肉の味が落ちる」

男はそう言って、槍を片手にワイヤーを滑り下りた。
降り立った生物の背中の上で、うまそうと一言漏らし、男は槍を突き立てた。

男の名はミカ、龍捕り(おろちとり)と呼ばれている船乗りの一人だ。

天空を泳ぐ龍を追って、世界中を飛び回る捕龍船。
数は少なくなった現役の捕龍船「クイン・ザザ」。
それに乗り込み龍を狩る龍捕りが、この物語の主役だ。

彼らは龍を捕り、解体しそれを売って旅を続けている。
帰る港は無く、龍を追っての旅から旅の日々が彼らの日常だ。
龍はこの世界では人々の生活に浸透しており、肉、油、内臓に至るまで様々な用途に用いられる。

新米龍捕りタキタは、先ほど龍を仕留めたミカが、骨から削いだ肉をつまみ食いしようとしているのを見咎める。
ミカはタキタの口に削いだ肉を突っ込み、彼女を黙らせた。

骨に残った肉は処分されるため勿体ないと、話すミカに鮮度がいいと生でも美味しいですねとタキタは返した。
その後つまみ食いがバレたミカとタキタは、お説教を食らう。
こうして捕龍船での日常は過ぎていく。

市で宿を取ろうとしていたクイン・ザザの一行だったが、市の連中が怖がっているとの名目で宿泊を拒否された。
乗組員の一人、ジローが市の顔役に食い下がるが、市の総意だと突っぱねられた。

仕方がない、私たちはどこへ行っても余所者だと、乗員の女性、ヴァニーが口にした。
顔役は、昔、捕龍船に乗っていたのは、囚人や無頼漢だったことをあげ、抵抗のある連中も多くてと内情を吐露する。

船のまとめ役のギブスは笑顔でそれを受け入れ、無用の衝突をさけた。
そしておさまらないジローに、お前は真面目過ぎると声を掛ける。

タキタも肉や油は買っていくのにと、少し納得いかないようだ。
ヴァニーは理屈じゃないのよと冷静に諭した。
タキタはベッドとお風呂のことを考え、自分の服を匂った。

ミカはタキタの頭を匂い、何のつもりですかと慌てるタキタに、臭いのかなと思ってと返しながら、鉄板とかまどを用意していた。
彼は今回獲った肉はステーキが美味そうだと、手際よく肉やパンを調理していく。

出来上がったのは、龍の尾身のステーキサンドだった。
それに独りでかぶりついたミカに、私にも分けて下さいとタキタは詰め寄るが、彼がサンドを手放すことは無かった。

二人がサンドを取り合いしている所に、市の顔役が隣市に龍が出たと慌てて駆け付けた。
捕まえに行って欲しいと訴える顔役に、ギブスは補給もしてないしと難色を示す。

市の連中の勝手な言い分にジローは憤るが、ミカは行こうぜと口にする。
隣市なら補給なしでも行ける、いつもと一緒だとミカは話し、ヴァニーもそれに賛同した。

納得できない様子のジローに、ヴァニーは仕事よと声をかけ、ギブスは、顔役に宿の手配を暗に要求し、クイン・ザザは出発の準備を始めた。
ミカはサンドイッチを平らげ、今度はどんな奴かなと目を輝かせた。

あらすじ2

隣市では市の真上を龍が舞っていた。
ミカが言うには、仲間を呼んでいるらしい。
閃光弾でおびき寄せる事も出来ず、市の上で龍捕りをする訳にもいかない。

何とか仲間を呼ぶ前に対処しないと、手に負えなくなるとギブスが口にする中、ミカが捕龍砲でアンカーを打ち込んだ。
ギブスは市に被害が出ることを懸念し、ミカをとがめたが、ミカはさして気にした様子もなく、その時はその時だと素っ気無く答えた。

ギブスがミカに更に何か言おうとした時、船を揺れが襲った。
振り返ると龍が船首に取りついていた。
龍はやけに好戦的で自分たちに起こっているようだった。

ミカは今朝捕った龍と匂いが同じだと言う。
恐らく朝の龍の母親で、龍の方もこの船が子供を獲った事に気付いたようだ。

タキタは甘いとはわかっていますけど、可哀そうと呟いた。
それを聞いたミカは。龍捕りを勘違いするなとタキタに告げる。
龍は一方的に狩られるような相手ではない。

「殺す覚悟の無いヤツは、死ぬぞ」

ミカはタキタに視線を向けそう言い放った。
甲板の上では龍の触手が暴れていた。
ギブスが吹き飛ばされ、駆け寄ったニコが触手に絡めとられる。
それをミカが大振りのナイフを投げて助け出す。

何発も火裂矢(ボムランス)を打ち込むが、手応えが無く、ヴァニーはタキタに電気矢(スタンランス)を持ってくるよう指示をだした。
しかしミカはそれを止める。

彼はあれを使うと味が落ちると、パイルランスを片手に駆け出した。
他の船員も援護に回る。
ヴァニーが触手を切り払った隙をついて、ミカは龍の口にパイルランスを突き入れる。

龍はしぶとく、ミカを触手でつかみ飲み込もうとする。
ジローが銛を突き立てるが、触手で投げ飛ばされ、それにタキタも巻き込まれた。

ミカは無我夢中で足元に転がった、スタンランスを龍に打ち込み龍を仕留める事に成功した。
スタンランスを使ってしまったことに、落ち込みながらため息を吐きつつメシにしようと呟いた。

市に戻ったクイン・ザザの一行は、久々の新鮮な食事に舌鼓を打っていた。
船での食事は航海が長くなると、塩漬け肉や保存食が中心になる。
新鮮な食事は船員にとって、これ以上ないご馳走だ。

司厨長のヨシが、ミカに仕留めた龍の肉を持ってくる。
やはりスタンランスを使うと味が落ちるようで、彼は何とも言えない顔で「ん゛まい」と、肉を頬張り口にした。

翌朝、夜明けと共にクイン・ザザは出航準備を行っていた。
今日も天空を泳ぐ龍を追い、龍捕り達の旅は続く。

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こんな方におすすめ

・肉料理好き
主要人物のミカがとにかく肉好きなので、肉料理が沢山作中に登場します。
レシピも掲載されているので、肉を置き換え実際作り味わう事も出来ます。
舞台である飛行船内部や小道具、街の風景などの背景も詳細に描かれており、コマの一枚一枚が小説の挿絵のような、美しい作品となっています。

・ジブリ、特にラピュタが好き
作中に搭乗する飛行船などは、ジブリ作品「天空の城ラピュタ」に出て来る宮崎駿さんの描く、空想科学の世界ようなタッチです。
また、飛行船の食堂や、龍捕りの生活も丁寧に描かれ、巻末の設定資料等、想像力を掻き立てられます。

まとめ

龍捕りは捕鯨のようだと冒頭で書いたように、この世界では龍は肉、油、臓物に至るまで様々なものに利用されているようです。
しかし、技術が進み他に効率のいい代用品が見つかる等して龍捕り自体は斜陽産業のようです。

主要人物であるミカは龍の肉にこだわり、新鮮な肉を食べる事が目的で龍捕りを行っているようです。
また龍も船より巨大なものから、バスケットボールサイズの小さな個体まで種類も様々で、味もそれぞれ違うようです。

作者の桑原さんの好きなものを、目一杯詰め込んだことがよく分かるお腹の空く作品です。

この作品はこちらで一部無料で読む事が可能です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

※イメージはPixabayのFree-Photosによる画像です。
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