クマ撃ちの女 9 BUNCHコミックス
作:安島薮太
出版社:新潮社
因縁の牙欠けのヒグマを撃つため、奴に襲われた女性の捜索を続けるチアキ。
彼女は警察の捜索隊との連動を嫌い、猟犬のワンが集団を嫌がる事を理由に単独での捜索を願い出る。
チアキは自らの過去もダシに使い、警察を説得。
自分、カズキ、ワンの二人と一匹で行動する事を警察に認めさせた。
あらすじ
二人と一匹で山に入ったチアキは、ワンの鼻を頼りに雪道を進む。
その行程の最中、カズキは最後のチャンス、絶対にクマを仕留められると言ったチアキの言葉について尋ねた。
チアキは以前、叔父のカツヤとラーメンを食べた際、彼からクマ撃ちに関するアドバイスを貰っていた。
カツヤはチアキよりも遥かに多くクマを撃っている。
そのカツヤの言うところでは、クマが獲物を埋めた饅頭(ヒグマは獲物を雪や土に埋める習性がある)への執着は強く、食べきるまではそこを離れない。
今回、クマに襲われた女性は恐らく饅頭にされているだろう。
クマは饅頭の周囲、五十メートルほどに留まっている場合が多く、饅頭に触れれば即座に襲ってくるという。
つまり、被害者の饅頭さえ見つければ、おびき出す事は容易であるという事だ。
そんな話をしているうち、何かを見つけたワンが駆け出す。
そのワンを追って進み、やがて待てと命じたチアキの視線の先。
そこには雪の小山から指輪をした白い手が突き出ていた。
感想
今回は警察隊と別れチアキ、カズキ、ワンでの捜索から始まり、遺体に触れる、カズキとの決別、遺体回収、一人になったチアキ、中野襲来、中野への狩猟指南等が描かれました。
その中でも今回はチアキとカズキの別れの原因になった、被害者の遺体への対応が印象に残りました。
チアキは建前上、被害者やその家族を気遣う素振りを見せながら、本心では標的のヒグマを撃つ事を第一に置いていました。
一方のカズキは、チアキにそういう部分がある事を理解しながらも、恋人となった現在、彼女が違う行動を取ってくれるのではと考えていました。
ですが、チアキの選択はカズキに被害者を触らせ、それに激高したクマが飛び出して来るのを迎え撃つという物でした。
更に彼女は被害者を餌にして、逃げたヒグマが戻ってくるのを待つと言い出します。
目的のためなら手段を選ばない。
そこに情は無く、あくまでも合理的にどうクマを仕留めるかに重きを置いたチアキ。
彼女がそれに失望したカズキと別れた事で変わるのか。
そちらも気になるところです。
まとめ
今回の後半、北海道で酪農家になる事を目指す中野がチアキの下を訪れます。
なにか企んでいる様子の中野。
彼女の目的がなんなのか。そちらも気になります。
こちらの作品はくらげバンチにて一部無料で閲覧いただけます。
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お読みいただき、ありがとうございました。