違国日記 2 フィールコミックス
著:ヤマシタトモコ
出版社:祥伝社
人見知りな小説家と、その姉夫婦の遺児の同居生活を描いたお話です。
槙生は姉夫婦の家の片付けを朝と行い、不要なものを処分しました。
片付けの後、中学の卒業式に出るため向かった学校で、友人のえみりが朝の両親が亡くなった事を、彼女の母親に話した事が原因で学校中に知られてしまいます。
朝は普通の生徒として、卒業式に出たかったと声を荒げます。
えみりにも大嫌いと言い放ち、学校を飛びだして、気が付けば以前の家に帰って来ていました。
ここはもう帰る場所じゃない。
彼女は駅に向かい路線図を見てフラフラと座り込みます。
携帯を見ると、えみりから連絡が入っていますが、それには答えずどうやって帰るんだっけと朝は呟きました。
家では槙生が朝の帰りが、遅いのを心配していました。
連絡をしようと携帯を取り出した時、朝が戻りどうしたのか聞くと、朝は涙を流し、帰り道が思い出せなく…と答えました。
第8話 あらすじ
槙生は朝に足湯を用意し、体を温めるように促した。
それから、何が起きたかを聞いた。
朝の携帯が鳴ったので、その子なんじゃないの見ればと槙生は朝に言うが、うるさいな、仕事してれば!?と怒鳴られる。
私だって仕事したいよ。めんどくさいなとため息を吐く槙生に、朝はお母さんはそんなの言わなかったと声を上げる。
感情的になっている朝に、あのねぇ、わたしとあなたのケンカじゃないんだよと頭を掻きながら槙生は言った。
卒業式の話から話題が槙生の友人、ダイゴの話にうつり、学生時代の友人が一生ものとは言わないけど、昔から自分を知っている人間がいることは、私には必要だったと槙生は朝に話した。
他では替えがきかない。こんなやつは他にはいない。
槙生はダイゴの事をそう言った。
まだ拗ねたようすで、高校でいっぱい友達作るもんと話す朝に、槙生はあんたが決めることだと席を立った。
朝は部屋に戻ろうとする槙生に、何時ダイゴとずっと友達でいようと思ったか尋ねた。
わかんない、思い出せたら言うと言って、槙生はパソコンの前に座った。
仕事をしているとダイゴから画像が流れてきた。
セクシーな服を着たダイゴがポーズを決めている。
それに思わず吹き出しそういえば、学生の時も手紙でこういうことしていたと返信し、そのことで手紙の事を槙生は思い出した。
槙生はピザ決めてとチラシを渡しながら、朝に画像を見せ、それから卒業式にダイゴに渡された手紙の話をした。
手紙になんと書かれていたか尋ねる朝に、槙生は答える。
「6年間 きみがいなかったら 私は息ができなかった」
朝はなんで画像をみせてから、その話するのと朝は呆れる。
それは無意識と返す槙生にその手紙を読んでどう思ったかと朝は聞いた。
「生きてていいんだ」と思ったよ。大げさじゃなくね。
朝はえみりの言葉を思い出す。
「あたしってさー
なんか朝といるときだけほんとのあたしっぽい」
朝はえみりに電話を掛けた。
繋がった電話越しにえみりの嗚咽が聞こえる。
「きらいとか ごめん 嘘
全然嘘…
……こんど おとうさんとおかあさんの話させて……
……えみりにしか話せない……」
左手のピザのチラシは、くしゃくしゃになっていた。
朝は槙生にえみりと和解したことと、こんど彼女が母親をつれて、謝罪とあいさつに来ると告げた。
人見知りの槙生には、ハードルが高そうな話だった。
感想
当たり前に存在するものが突然消えてしまうと、脳が追い付かず時間がたってから不意に悲しみが湧いてくる。
朝を見ているとそんな気がします。
まとめ
どうやっても分かり合えない人間というのはいるもので、それが槙生にとっては朝の母、彼女の姉だったのかなと思いました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
こちらの作品はpixivコミックにて一部無料でお読みいただけます。
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