ブルージャイアントエクスプローラー 7 ビッグコミックススペシャル
作:石塚真一
出版社:小学館
後に世界的なサックスプレイヤーとして名を馳せる、宮本大の軌跡を描いた作品。
そのアメリカ編。
黒人の巨漢ドラマー、ゾッド。
彼と組むため大はポーカーで勝負する事になる。
現在、ポーカーで生計を立てている、いわばプロのゾッドに大は真っ向勝負を挑み……。
登場人物
ゾッドの母親
彼女が倒れたことがきっかけで、ゾッドはニューヨークからヒューストンへと戻ってきた。
現在は療養中のようで、ゾッドは彼女の介護をしている。
ペイトン
ニューオリンズのレジェンドプレーヤー
眼鏡に白髭で禿頭の黒人男性。
大たちのステージを見て、知り合いの店で演奏出来るよう手筈を整えた。
あらすじ
ポーカーのプロとして生活費を稼いでいるゾッドは、慎重に大の手を考察した。
常に計算するゾッドと対照的に、大は先を考える事無く勝負を続けた。
やがて二人の話題は勝負からジャズへと変化。
大は明日を考えず出し切ることが客の心を揺さぶると話し、ゾッドは綿密に計算されたハーモニーやリズム、それを支える高い技術を世界は求めていると返した。
「あんたは勝負の前に計算してる。負けることが前提にあって、小さく勝ちを重ねようとしてるんだ。そんな奴がオレ達を値踏みするだ? ふざけるな!!」
「…………お前は……負けたことがないのか?」
テーブルをはさんだゾッドは静かに低く大に問う。
「ないね」
大は特に気負った様子もなく、当然といった顔でゾッドに答えた。
感想
今回はゾッドとのポーカー勝負から始まり、ホンダとの別れ、新しい車でジャズ生誕の地ニューオリンズ、バーボンストリートへ、ニューオリンズでライブ、ペイトンの紹介してくれた店で顔と名前を売るため演奏などが描かれました。
その中で今回は大とゾッドのスタンスの違いが印象に残りました。
大はこれまでと同様、出し切るスタイルでライブをこなし、ゾッドは大とアントニオを支えるように、気持ちを動かさない冷静なプレーを心がけていました。
ドラムとベース。
ジャズ以外の音楽でも上記の二つはリズム隊として、バンドの土台になっていると思います。
作中、ゾッドもそう考え、暴れまわる大とアントニオを支える裏方に回っていました。
そんなゾッドに大はもっと自分を出せと迫ります。
この巻の後半、ゾッドはニューオリンズで出会った路上演奏するドラマーに触発され、魂を解き放った演奏を行います。
徐々に大の求める音に近づいていくアントニオとゾッド。
彼らの音が大の求めるものとなったとき、どんな化学反応がおきるのか。
次回が楽しみです。
まとめ
前巻のまとめで書いたように、やはりホンダにゾッドを詰め込むのは無理がありました。
大はこれまで相棒としていたホンダと別れ、ダッジの箱バンで旅を続けます。
感想で書いたように、少しづつ大に影響され変わるゾッド。
彼が本気になったとき、どんな演奏を見せてくれるのかが楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。