ヴィンランド・サガ 26 アフタヌーンKC
作:幸村誠
出版社:講談社
大西洋を越えヴィンランド(現在のプリンス・エドワード島の北部沿岸)にたどり着いたトルフィン達。
彼らは先住民の住む森に贈り物を置いて、土地の開墾を始めた。
一方、贈り物を受け取った先住民たちは、見慣れぬ作業(開墾)をするトルフィン達を警戒しつつも、ノルドの持つ鉄の道具や食べ物に興味を持ったようだった。
そして彼らの代表が村を訪れ……。
登場人物
プルムク
先住民族ミクマウ族の青年
黒髪で浅黒い肌の額に傷のある男。
トルフィン達が開拓を進めるアルネイズの村に返礼品を持参した。
ニスカワジージュ
先住民族ミクマウ族の少女
黒髪で髪飾りの少女。
予言の才能があるらしく、太陽の光で焼かれる夢を見た。
ブーウォイン(知恵ある者)であるミスグェゲブージュと同様、森を切り開くトルフィン達に不安を感じている。
ノルドの事を知ろうとプルムクと共にアルネイズ村を訪れる。
ノルドの言葉を知るため、少し言葉のわかるギョロと行動を共にする。
ミスグェゲブージュ
ブーウォイン(知恵ある者)と呼ばれる先住民の賢者
ニスカワジージュの師匠。
一族の取るべき道の判断材料して自らの知識を語る。
儀式を行い未来(独立戦争やその後の歴史)を見た。
その際、銃や大砲、核兵器を見て強い恐怖を抱く。
ヴァルガル
トルフィンが解散させたヨーム戦士団の残党の頭目
バンダナ髯のおじさん。
クヌートの下につく事を良しとせず、海賊として生きていたが黄金を積んだ噂のある船を追跡中、デンマーク軍に囲まれる。
その後、トルフィンの説得で船団に加わり西の海を渡ることになった。
アルネイズの村とグリーンランド、アイスランドを往復し物資を運ぶ。
あらすじ
アルネイズの村へとやって来た先住民の代表たち。
村の住人の一人、北欧の民イーヴァルは襲撃だと思い、隠し持っていた剣を取り出す。
しかし、彼らは入植当初、トルフィン達が送った品の返礼に来たようだった。
ウーヌゥ(ミクマウ族の言葉で言葉を話す者という意味)、自らをそう名乗り、プルムクと名前を言った青年とトルフィンは自分の名を言いながら笑顔で握手を交わす。
返礼の品は遊びの道具やトウモロコシ、煮詰めたメープルシロップ等、様々な物があった。
トルフィンはその後、ウーヌゥ族(ミクマウ族)との商取引を提案、お互いが得をする関係を結ぶことで交流を始めた。
一方で、ミクマウ族のニスカワジージュやミスグェゲブージュ等は、木を伐りすぎるトルフィン達に不安を感じていた。
また、開拓団側でもイーヴァル達が、あくまで話し合いで物事を解決するトルフィンのやり方に危機感を感じていた。
もし先住民達が開墾した畑を奪いに来たら……。
リーダーには戦い守る力が必要だ。
トルフィンの過去を知らないイーヴァル達は、体の小さなトルフィンは戦いが苦手だから剣を持たないのだと考え、いざという時の備えとして剣を持ち続ける事を選んだ。
そんな種火を抱え、アルネイズの村の日々は過ぎていき……。
感想
今回は冒頭、ウーヌゥ族(ミクマウ族)との交流から始まり、トルフィン達を警戒する部族の賢者とその弟子、剣を持ち続けるイーヴァル、冬眠し損ねた熊とヒルド、ヨーム戦士団の残党とヴァルハラについて、麦畑と収穫、パンと赦し等が描かれました。
今回はその中でもラストのヒルドの赦しがとても印象深かったです。
ヒルドは家族をアシェラッド達に襲われ、トルフィンには父親を目の前で殺されています。
平和で穏やかな日々は失われ、拾ってくれた老猟師の弟子として腕を磨き、自ら考案し製造した弩でトルフィンの命を狙った事もありました。
そんな彼女の怒りを、トルフィンは誰も殺さない戦いを続ける事で消しました。
暮れる夕日に輝く麦畑でしゃがみ込み泣くトルフィンと、その手を取ったヒルド。
なんというか、とにかく無茶苦茶良かったです。
まとめ
今のところ、ミクマウ族とも友好関係を築けている様子のトルフィン。
部族の賢者、ミスグェゲブージュの見た未来がミクマウ族に何か影響を与えるのか。
剣を持ち続けるイーヴァルの行動は。
トルフィンの求めた平和な国がどうなるのか、次回も楽しみです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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