くらまし屋稼業 コミカライズ版 2 ヒューコミックス
漫画:ユウダイ
原作:今村翔吾
出版社:KADOKAWA
今村翔吾さんの時代小説「くらまし屋稼業」のコミカライズ版。
凄腕の剣客、堤平九郎(つつみ へいくろう)。
稀代の智将、七瀬(ななせ)。
変装の名人、赤也(あかや)。
金さえ払えば何処へでも逃がしてくれる、三人のくらまし屋の活躍を描いたアクション時代劇。
登場人物
初谷男吏(はつがや だんり)
人身売買組織の者の一人
蓬髪丁髷の目つきの鋭い男。
丑蔵(うしぞう)殺害の命を受け、彼の屋敷を訪れる。
彼自身は腕が立つ訳ではないらしい。
榊惣一郎(さかき そういちろう)
人身売買組織の者の一人
前髪で瞳を隠したオカッパの青年。
平九郎の腕前を死体から推測したことから、かなりの使い手だと思われる。
お春(おはる)
呉服屋、菖蒲屋(あやめや)の奉公人
11歳の少女。
その愛らしい見た目から主人の留吉(とめきち)に懸想され、襲われそうになる。
その発覚を恐れた留吉から冤罪を掛けられ、店の蔵に監禁された。
留吉(とめきち)
菖蒲屋の主人
あばた顔で下膨れのタラコ唇な男。
主人という立場を利用し、お春を手籠めにしようとした。
お春が商売敵の畷屋(なわてや)の主人、亀之助(かめのすけ)と会っていた事を知り、醜聞をもみ消そうと人身売買組織の頭目、金衛門(きんえもん)にお春の身柄を引き渡そうとする。
亀之助(かめのすけ)
呉服屋、畷屋の主人
糸目に髭の恰幅のいい男。
店を軌道に乗せようと、菖蒲屋を潰すためお春に近づく。
風太(ふうた)
母親の病の知らせを聞き、店から逃げ出したお春が出会った飛脚の青年。
口元ほくろの好青年。
留吉の放ったチンピラからお春を庇い逃がし、くらませ屋への繋ぎとなる文を田安稲荷の玉狐の下に埋めるよう告げる。
松下善太夫(まつした ぜんだゆう)
道中の行き来を管理する道中奉行の部下である道中与力
ひょっとこ顔のおじさん。
道中奉行は大目付と勘定奉行の兼務が通例となっており、実務は与力が行っている。
平九郎はお春が江戸を出ていないか調べるため、丑蔵の件で検問を設けた奉行の実務役、松下の下を訪れた。
坊次郎(ぼうじろう)
平九郎の知り合いの口入れ屋、四三屋の主
M字禿で出っ歯のおじさん。
表の人足紹介だけでなく、危ない仕事の斡旋も手掛けている。
万木迅十郎(ゆるぎ じんじゅうろう)
炙り屋と呼ばれる闇稼業を生業とする男
ざんばら髪の美青年。
炙り屋は依頼主の求めに従い、必要な情報、人を炙り出す事を仕事としている。
人をくらませるくらませ屋とは天敵。
剣の腕も相当なもので、平九郎とも渡り合えるほど。
あらすじ
やくざから足抜けしようとした万次(まんじ)とその情婦、お利根(おとね)を江戸から逃がす事に成功した平九郎たち、くらまし屋の三人。
一仕事終えた平九郎が茂吉(もきち)の店で独活(うど)の和え物を肴に一杯やっていると、血文字の依頼書を持った赤也が店にやってくる。
依頼書には書きなぐった文字で、あやめや、春と記されていた。
呉服屋、菖蒲屋の奉公人の少女、お春は依頼が平九郎たちの下へ届く数日前、主人の留吉から手籠めにされそうになった。
その時は思わず上げた叫び声ですぐに店の人間が駆け付け、事なきを得た。
しかし、留吉はその醜聞を誤魔化すため、お春に盗人の罪を着せた。
これまで留吉の歪んだ欲望から、贔屓にされていた事もあり、店の者たちはお春に辛く当たった。
また、留吉の妻である女将も、留吉の気持ちがお春に向いていた事に気付いていたようで、冷たい視線を彼女に向けた。
そんな中、お使いに出たお春に一人の男が声を掛ける。
男の名は亀之助。
先月、菖蒲屋の近くに呉服屋、畷屋を出した商人だった。
彼は留吉がお春に行った一件を聞きつけ、菖蒲屋を潰す目的で、表面上は正義を行うために真相を話して欲しいと持ち掛ける。
更に亀之助はお春に自分の店で雇ってもいいと続けた。
亀之助の提案に揺れるお春だったが、彼女が亀之助と話していた事はすぐに留吉にバレ、お春は店から出る事を禁じられた。
そんな時、郷里から母が病に倒れたと知らせが届き……。
居ても立ってもいられなくなったお春は、朝の掃除の際、店の者の目を盗み菖蒲屋から逃げ出した。
感想
今回は前巻からの続き、ヤクザの万次の江戸脱出の顛末から始まり、醜聞を隠すため、蔵に監禁された少女、お春のエピソードが描かれました。
十一歳の少女を手籠めにしようとした上、その醜聞を消すため人買いの金衛門に引き渡そうとした為吉。
一方で江戸での成功のため、邪魔な菖蒲屋を潰そうとお春に近づいた亀之助。
純粋に病床の母を思う幼気な少女を、自身の都合で振り回す大人たち。
そんな中で体を張ってお春を助けようとした風太がとてもかっこよかったです。
まとめ
この巻でも金衛門率いる人身売買組織の影がチラつきました。
また、この巻ではくらまし屋の天敵である炙り屋、万木迅十郎と平九郎との闘いも描かれました。
今回は赤也の助けによる不意打ちで平九郎が先手を取った事で、勝負は平九郎の勝利となりました。
しかし、手負いの状態で平九郎の剣をしのぎ切った迅十郎も並みの腕前ではなく……。
今後も戦う事になるだろう万木迅十郎。
一対一で戦った場合、どちらの剣技が勝るのか。
その辺も気になるところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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