平和の国の島崎へ 1 モーニングKC
原作:濱田轟天
作画:瀬下猛
出版社:講談社
国際テロ組織、LEL(経済解放同盟)が30年前にハイジャックした航空機、羽田発パリ行きO457便。
その航空機に乗っていた少年、島崎真悟(しまざき しんご)。
LELにより戦闘工作員として育てられた彼は三十年後、組織を脱出、生まれ故郷である日本で平和で穏やかな暮らしを始めていた。
登場人物
島崎真悟(しまざき しんご)
ハイジャック事件によりLELに囚われ、戦闘工作員として育てられた男
鼻と左頬の他、体中に傷を持つ眼鏡の男性。
物腰は丁寧だがずっと外国の戦場で暮らしていたため、日本人からすれば少しずれている。
漢字は読めず書ける字もひらがなのみ。
兵士としての能力は非常に高く、丸腰でヤクザ三人を圧倒した。
山本(やまもと)
部下の女性と共に島崎達の動きを監視する男
多分、公安じゃないかな。
緒方(おがた)
島崎と同じくLELからの脱走者
黒髪ポニーの女性。
現在、島崎は脱走者数名とシェアハウスで暮らしている。
彼女もそのシェアハウスの住人。
投げナイフが得意のようだ。
寮長
島崎が暮らすシェアハウスの寮長
白髪髭の壮年男性。
アフリカや中東の料理が得意なようだ。
彼もLELからの脱走者らしい。
川本マッハ(かわもと まっは)
緒方の知り合いの漫画家
黒髪ベレー帽の青年。
絵の好きな島崎に緒方がアシスタントの仕事を紹介した。
描いているジャンルはガンアクションのようだ。
カオリ
川本のアシスタント
黒髪ショートの女性。
実家は喫茶店を営んでいる。
仕事の丁寧な島崎に好印象を持ち、実家の喫茶店でのアルバイトを紹介した。
カオリの父
喫茶店のオーナー
黒髪ちょび髭の小柄な男性。
経歴の不明な島崎に不信感を抱くが、その後、彼の淹れた東アフリカのコーヒーを飲み、彼の事を認める。
岡村しず子(おかむら しずこ)
児童支援事務所「すみれの里」の代表
白髪おさげの老婦人。
すみれの里では利用者がお菓子を作り、それを販売している。
知事が変わった事で施設への援助が打ち切られ、すみれの里は存続の危機を迎える。
菅野(すがの)
県知事
選択と集中が政治理念。
総合型リゾートの誘致のため、福祉と防災の予算を削った。
岡村と菅野には過去に接点があり……。
マサオ
LELの元戦闘員
モヒカン髭で太った男。
LELにいる時も日本に帰る事を強く望んでいた。
その後、脱走し日本へと戻ったが……。
暗殺者の男
日本に定着しサラリーマンとして働き、家族を持つおじさん
髪の薄いスーツの中年男性。
狙撃、コンシールドキャリーウェポン(隠し銃器)による近距離からの銃撃、CQC(Close-quarters Combat/近接戦闘)による攻撃で執拗に島崎を狙う。
あらすじ
LELの戦闘工作員として様々な作戦に参加し、闘いの勝利に貢献してきた男、島崎真悟。
彼はLELの手を逃れ日本に帰国。
現在は同じ境遇の者たちとシェアハウスで暮らしながら、平和な日本での暮らしを楽しんでいた。
その日、絡んできたチンピラをまき、家に帰った島崎は食事を終えたあと、シェアハウスの仲間の一人、緒方の紹介してくれた漫画家の川本の下を訪ねた。
作業を手伝い、川本が描いているガンアクションのモデルをこなし、作品に登場する銃器についてアドバイスした事で、島崎は川本たちに感謝された。
そんな風に受け入れらた事で、島崎自身もホッとしていた。
ずっと遠い異国の戦場で暮らしていた島崎にとって、平和な日本での生活は憧れると同時になじめるか不安だったのだ。
だが、川本もアシスタントのカオリも島崎の事を好意的に受け入れてくれている。
その事に喜びを感じつつ、明日の手伝いを打診された島崎は「ハイ!」と力強く答えた。
感想
顔や体に傷はあるものの、すこしずれてはいるが見た目は平凡な中年男性。
その実態は凄腕の元戦闘員。
作品はその元戦闘員、島崎が戦場へ復帰するまでの、一年足らずの日本での生活を描いたものになるようです。
作中、戦場に戻るまであと何日とアナウンスされるので、彼が再び戦いに赴くのは決定しているようです。
ただ、漫画家の川本やアシスタント、カオリの実家の喫茶店での島崎の様子を見ていると、ずっと穏やかに暮らしてほしいと思ってしまいます。
一方で、川本がひったくられた原稿を実力行使で取り戻すなど、彼の根底には問題を暴力で解決する事に躊躇が見られず、やはり彼のいる場所は戦場なのかなとも感じました。
まとめ
この巻の終盤、島崎はLELの暗殺者から襲撃を受けます。
無傷で撃退した島崎ですが、暗殺者に諦めた様子は見えませんでした。
騒ぎを嫌い、穏やかに生きる事を望む島崎が彼にどう対処するのか、次巻も楽しみです。
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