令和のダラさん 1 MFC
作:ともつか治臣
出版社:KADOKAWA/MFC
片田舎の緑豊かな山。
かつて集落があったその地の奥には、触れれば祟ると言われる地元の人間が立ち入らない禁足地があった。
フェンスに覆われたその地には、小さな祠があり屋跨斑(やまたぎまだら)と呼ばれる怪異が潜んでいた。
登場人物
三十木谷薫(みそぎや かおる)
金髪碧眼でそばかすの美少女っぽい少年
小学五年生。
姉が嫌がった可愛い服を幼い頃から母に着せられていたため、現在も女の子の恰好をする事が多い。
三十木谷日向(みそぎや ひなた)
薫の姉
黒髪ショートのボーイッシュな少女。
中学二年生。
ある雨の夜、弟の薫と共に祖父を探しに入った山で怪異と出会う。
屋跨斑(やまたぎまだら)/ダラさん
山の忌地の祠に封じられたとされる怪異
上半身は長い黒髪と六本の腕を持つ女性、下半身は大蛇の怪異。
無残に殺された巫女と元々、山にいた大蛇が混じり合い形を成した。
自分を殺した村人とそれを画策した姉巫女に強い恨みを抱いており、かつては触れる者に祟りを与えたが、長い時が過ぎた現在はその怒りも風化した様子。
自分に興味を持ち近づく三十木谷姉弟となんやかんやで友人となる。
優しく面倒見のいい性格。
姉巫女
かつて集落を大蛇から守った双子の巫女の片割れ
美しい容姿で両親や村人からも愛されたが、醜女と蔑まれた妹巫女の下に集落の精悍な大工の青年、十郎太(じゅうろうた)が通うようになると、妹巫女に嫉妬し彼女の謀殺を企てる。
三十木谷兵吾(みそぎや ひょうご)
薫たちの祖父
白髪の老人。
三十木谷の家は屋跨斑の祠のある山の管理をする山守の家系で、彼もその役目を引き継ぎ祠を守っている。
筆木直道(ふでぎ なおみち)
薫のクラスの担任教師
眼鏡で小太りな中年男性。
その見た目から誤解される事も多いが、世話好きで生徒思いな教師。
趣味は裁縫とフェルト人形作りで、コスプレ衣装なども依頼を受け制作している。
十郎太(じゅうろうた)
西集落に住む大工の青年
姉巫女は彼に想いを寄せていたが、十郎太は優しく面倒見のいい妹巫女に好意を抱いていたようだ。
五十子美和(いらこ みわ)
三十木谷と畑を挟んで向かいのご近所さん
黒髪ショート眼鏡の女性。
男性が苦手だが、ガーリーな薫とは何とか会話可能。
その事で薫の事を狙い、彼の成長を待っている。
職業はウェブを介して仕事をするフリーのデザイナー。
同人活動も行っている。
梛(なぎ)/二十尋佐恵子(はたひろ さえこ)
代々、山の祠を祭る巫女に受け継がれる名前「梛」の名を持つ神職の少女
そばかす眼鏡のパンキッシュな女子校生。
霊感は無い。
二十尋理嗣(はたひろ まさつぐ)
梛の後見人かつ世話役の中年男性
黒髪眼鏡で顎鬚の男。
梛との関係は叔父だが、養子であるため血縁関係はない。
一見、真面目に見えるが虫やロボット、メカ武装美少女のプラモが好き。
あらすじ
ある嵐の夜、山の祠の様子を見に行った祖父の身を案じ、孫である姉弟は入る事を禁じられた山へと足を向ける。
その山の祠には触れれば祟るとされる恐ろしい怪異が祀られていた。
その怪異、屋跨斑に姉弟は出会う。
「誰や!?」
姉、日向の誰何の声に降りしきる雨の中、姿を見せた巨大な影は答える。
「オマタギサマ、マダラサマ、マダラゴゼン……お前ら人の呼ぶなは数多あれど……古くはそう、屋跨斑(やまたぎまだら)。そう呼ぶ……」
「あー 山田サン……?」
「いや、姓名じゃねーし、そこで切るな。それじゃ下の名前、ギマダラになるだろ。何人だよ」
薫の言葉に怪異は思わず突っ込みを入れた。
感想
モデルは恐らく姦姦蛇螺の怪異、屋跨斑ことダラさんと物怖じしない姉弟、日向と薫のふれあいを描いたオカルトコメディ。
ダラさんは過去に姉の嫉妬による策謀で、腕と足を村人に絶たれ、裏切られた怒りから大蛇と融合、怨霊となり祟りをばら撒いていたようです。
しかし、長い時が過ぎ、融合した大蛇を妹巫女の精神が調伏した事で、現在は誰彼構わず祟る事はなく、たまにイキったヤンキーをキャン言わせる程度。
面倒見が良く、祟り神である自分に懐く日向と薫の身を案じるお人好しなダラさんがなんだか可愛い作品でした。
まとめ
次巻ではダラさんのお宅訪問、メイドなダラさんも見られるようです。
日向と薫がダラさんにどんな無茶ぶりをするのか、次も楽しみです。
こちらの作品はコミックウォーカーでも一部無料で閲覧頂けます。
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お読みいただき、ありがとうございました。