高度に発達した医学は魔法と区別がつかない 3 モーニングKC
原作・医療監修:津田彷徨
漫画:瀧下信英
出版社:講談社
雷に打たれ、人間が治療魔法を独占する異世界へと転移した総合診療医、天海唯人(あまみ ゆいと)。
助手の獣人、コロネが受け入れられる環境を考え、エルフ達が治める世界樹の国へと向かった唯人は、そこで胃に出来た腫瘍により貧血に苦しむ竜族の王、リンドブルムの治療に当たる。
人間にとって地獄と変わらぬ竜の腹に入り、唯人はリンドブルムを苦しめていた腫瘍の切除に成功。
竜とエルフの確執を取り除く事を果たした。
登場人物
ノルミム
元ドワーフ王
眼帯髭の屈強な老人。
様々な種族が共存する世界樹の国に身を寄せる者の一人。
竜族とエルフの間を取り持ち、国を存続させた唯人を仲間として受け入れる。
ハイク
エルフの戦士の一人
マッシュヘアーの青年。
人間の治療魔法師、正司祭クルネルソンがトレインした黒色狼との闘いで左腕に傷を負う。
マイアード
世界樹の国の宰相
お団子眼鏡のエルフの女性。
唯人を受け入れる事で人間の国との摩擦を考えるが……。
アーチ
大司教エクレスの部下、六星と呼ばれる幹部の一人
爽やかな笑みの青年。
人間以外は認めていないようだ。
ソル
大司教エクレスの部下、六星と呼ばれる幹部の一人
オールバックもみあげの巨漢。
コメット
大司教エクレスの部下、六星と呼ばれる幹部の一人
マッシュヘアーでしかめっ面の男。
フィア
大司教エクレスの部下、六星と呼ばれる幹部の一人
黒髪お団子ロングの小柄な女性
ゼス
大司教エクレスの部下、六星と呼ばれる幹部の一人
黒髪ロングで褐色の肌の青年。
エクレスは治療魔法の流出を阻止するため、世界樹の国に囚われたクルネルソンへの対応を彼らに命じた。
あらすじ
竜族の女王、リンドブルムの治療は成功したものの、彼女の完治にどれほどかかるのか、唯人は女王の息子、アレクに答える事は出来なかった。
理由は二つ。
一つはリンドブルムが人はなく竜である事。
キマイラの森神の回復力の高さ等、この世界では種族によって完治までの時間は驚くほど違う。
実際、リンドブルムの貧血からの回復は人のそれより、かなり早いようだ。
もう一つは切除した腫瘍が悪性、つまりガンなのか良性の物なのか、現状調べる術がない事だ。
もし悪性なら転移、再発も考えられる。
そこで唯人は今後の定期健診をリンドブルムに申し出た。
定期健診、それはつまり、再び竜の姿となった彼女の腹に潜り、患部の状態を診る事に他ならない。
高熱の血と何でも消化する胃液の溢れた竜の腹に定期的に入る。
そう話し、また苦しい思いをと頭を掻いた唯人を見てリンドブルムは一瞬、ポカンと口を開け、次の瞬間には剛毅な奴だと声を上げ笑った。
感想
今回はリンドブルムの回復と、彼女を心配しエルフに怒りをぶつけていた竜族とエルフの和解、人間の治療魔法師、クルネルソンの火炎魔法の所為で起きた黒色狼の世界樹の国襲撃、黒色狼との闘いで傷ついたエルフの戦士ハイクと肺気胸を起こしたクルネルソンの部下、サイア、トリアージ、ハイク達の治療と唯人の望み、エクレスの部下、六星の登場などが描かれました。
今回はその中でも、竜族とエルフの和解の場面に登場したドワーフの元王、ノルミムの存在が気になりました。
ファンタジーにおいて、ドワーフと言えば戦士としてだけではなく、優秀な職人として知られています。
唯人は地球から持ち込んだ器具や薬を使い、これまで異世界の住人の治療を行ってきました。
ただ、その物資は補給されることはなく、使い切ってしまえば唯人が医師として出来る事は大幅に狭まります。
ノルミム達、ドワーフ族ならそんな器具の製造も出来るのでは。
また、彼らが酒を愛する種族という事も今後、重要になってくるのではと感じました。
現在、唯人は使用した器具の滅菌処理に頭を悩ませています。
蒸留器を作り、高濃度のアルコールの確保が出来ればその滅菌処理の問題も解決するのでは。
ノルミムが唯人に飲ました酒のシーンを見てそんな事を思いました。
まとめ
この巻のラスト、治療魔法師のトップであるエクレスは幹部である六星を呼び寄せ、世界樹の国に囚われたクルネルソンへの対応を命じます。
治療魔法の流出を一番の問題と考えるエクレス。
彼の言う対応がクルネルソンの処分なのか。
命を救う事を第一に考える唯人は六星にどう立ち向かうのか。
次巻も早く読みたいです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。