真夏のグレイグー 2 KCデラックス
著:井上智徳
出版社:講談社
筑波分子生物学研究所。
そこで作られた自己増殖型ナノマシンの暴走「グレイグー」。
取り込んだ生体をコピーし、エネルギー確保のため捕食、更に規模を拡大させるナノマシンの群れから逃れるため、つくばに取り残された女子高生、蔵式真夏(くらしき まなつ)、水鳥川つむぎ(みどりかわ つむぎ)、山路綾乃(やまじ あやの)の三人はクラスメイトの弓月理々火(ゆみづき りりか)のいるショッピングモールへと向かう。
しかし、自衛隊の出動させたオスプレイはナノマシンの擬態したフクロウの群れに襲われ落下。
自衛隊員と収容していた要救助者だった民間人をナノマシンは取り込み、真夏たちを襲い……。
登場人物
鐘巻士郎(かねまき しろう)
筑波分子生物学研究所所長
白髪無精ひげの年配男性。
真夏たちの友人、鐘巻久遠(かねまき くおん)の父親。
グレイグーを起こしたナノマシン「KK-109」の開発者。
瀬能隼人(せのう はやと)
元警視庁のキャリア
黒髪オールバック顎鬚の男。
反社との付き合いが問題視され、収賄容疑で懲戒免職となった。
ナノマシンが暴走するつくばで元囚人たちを使い、非合法な行為に手を染めている。
母親の姿をしたナノマシンをママと呼び、彼女の為に人間を餌として与えている。
寺島修吾(てらしま しゅうご)
瀬能の部下
金髪そばかすの少年。
あだ名はマメオ。
瀬能に従っているが、根っこは善良。
あらすじ
落下したオスプレイからは、自衛隊の隊員の他、乗り込んだ民間人(モールに逃げ込んだマタギやショッピングモールの客)に擬態したナノマシンが姿を見せた。
それから逃れるため、真夏たちは屋上からモールの中へと退避。
ナノマシンの疑いのある真夏たちの搭乗を拒否した隊員達に反発し、オスプレイに乗らなかった理々火と共にモールからの脱出を試みる。
しかし、擬態したナノマシンはモールの天窓を破り真夏たちの前に落下。
体を再生させ彼女たちの行く手を阻んだ。
更にはマタギが連れていたドーベルマンも真夏たちの背後に現れ……。
前方にはナノマシンの群れ。
後方は恐らくナノマシンが擬態したドーベルマン。
進退窮まった真夏たちだったが、こちらに突進したドーベルマンは四人を傷つける事なく、ナノマシンの注意を引き誘導を始めた。
そんなドーベルマン、ベルの活躍で真夏たちはショッピングモールから辛くも逃げ延び、東京に避難し無人となった真夏の家に逃げ込む事に成功した。
感想
今回は冒頭、ショッピングモールからの脱出から始まり、陸路での筑波からの避難、放置車であふれた高速道路とモルモットの群れ、攫われた理々火と瀬能一味、身代金要求とナノマシン集合体の来襲、総攻撃等が描かれました。
今回はその中でも、高速道路でのモルモットの群れとの戦闘が印象に残りました。
作中、真夏たちは何千というモルモットの群れに襲われ、つむぎが持っていたチョコレートを使う事で道を切り開いていました。
犬や小動物にとって、カカオに含まれる成分が猛毒であるという事で、つむぎはチョコをばら撒きモルモットを撃退していました。
ナノマシンは取り込んだ生物に擬態しますが、同時にその生物にとっての弱点もコピーしている模様。
であるのなら、人に擬態したナノマシンも催涙ガス等で無力化が可能なのでは……。
と、一瞬考えましたが、津波のように押し寄せる巨大な集合体には絨毯爆撃が一番効果的だろうなとエピソードを読んでいて思いました。
まとめ
取り込んだ無数の生物に擬態し、まるでレギオンのように蠢きながら迫るナノマシンの群れ。
その巨大な集合体には刀や斧はもちろん、ハンドガンやアサルトライフルも焼け石に水だと感じました。
終盤、自衛隊のミサイル攻撃が行われる中、自衛隊員を助けようと一人残った真夏。
彼女がどうなるのか、次巻も楽しみです。
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