ミステリと言う勿れ 12 フラワーコミックスアルファ
著:田村由美
出版社:小学館
刑事の風呂光(ふろみつ)の携帯に祖母の悦子(えつこ)から連絡が入る。
それによれば、風呂光も世話になった女性、水島妙子(みずしま たえこ)が橋から落ちて亡くなったという。
悦子はそれが事故ではなく、事件だと言うのだが……。
登場人物
水島妙子(みずしま たえこ)
刑事の風呂光の知己
黒髪の年配女性。
夫と下の息子を亡くし一人暮らしをしていた。
風呂光の祖母、悦子の若いころの教え子。
イベントに出かけ、混雑した橋の上から落下、川に落ち死亡する。
加納悦子(かのう えつこ)
風呂光の祖母
白髪パーマで眼鏡の老婦人。
長年、教師をしており多くの教え子がいる。
教え子の妙子についてよく知っており、一人でイベントに出かけるような人間ではないと断言する。
殺人だと考えたのは、妙子がいつも帽子につけていた下の息子が作ったブローチがなくなっていた事が原因。
流正宗(ながれ まさむね)
悦子の教え子の一人、氷見東署所属の警察官
顎鬚の男性。
幼いころから風呂光を知る。
風呂光が刑事になったのは彼の影響のようだ。
望月湊(もちづき みなと)
@旅めしという旅行雑誌の制作者
ゆるふわパーマのイケメン。
人当たりがよく、風呂光の調査にも進んで協力する。
以前の誘拐事件の関係者、ライターの久我山の後輩。
蕪木真夏(かぶらぎ まなつ)
@旅めしのカメラマン
黒髪サングラスの寡黙な青年。
雑誌の制作など、実務作業はほとんど彼が担当しているようだ。
陽菜(ひな)
高校生の女の子
東京の大学に進学する事を希望しているが、祖父には早く結婚しろと反対されている。
その頑固な祖父、酒井善行の説得を悦子の家で出会った整(ととのう)に頼むが……。
酒井善行(さかい ぜんぎょう)
株式会社ゼンギョーの会長
禿頭顎鬚の和服の老人。
女はいい婿を取り家庭に入って裕福に暮らす、そんな考え方の持ち主。
両親を亡くし親戚に引き取られたものの、放置されていた流の面倒を見た。
流の他にも何人も子供の面倒を見てきたようだ。
あらすじ
風呂光の故郷、富山で一人の女性が川に転落し死亡した。
死亡したのは氷見市に住む、水島妙子(56)。
その事を祖母からの電話で知った風呂光は、上司青砥(あおと)の計らいで富山県、氷見市に向かった。
その際、先輩の池本から行き詰ったら整を頼れとアドバイスを受ける。
確かに整はその観察眼と推理力から、これまで様々な事件を解決してきた。
ただ、整は警察でも探偵でもない、ただの大学生だ。
相談なんかしない、そう言う風呂光に池本は現地では管轄の違いから風呂光も一般人と変わりはなく、その一般人の立場から意見を聞いてみたらと説得される。
「大事なのは、そこに犯罪があるなら見つけることだし」
途中経過はどうでもいい。
そんな池本の言葉を受けながら署を後にした風呂光は、準備を整え富山行きの新幹線へと飛び乗った。
感想
今回は刑事の風呂光の知人の死亡に端を発し、富山は氷見での調査の様子が描かれました。
事件なのか事故なのか、この巻ではそちらは判明せず、死んだ妙子が誰かと連れ立ってイベントに訪れたらしい事だけがわかりました。
警察のウェブサイトに書き込まれた連続殺人の可能性の示唆。
妙子は誰かに殺されたのか。
その理由は一体なんなのか。
連続殺人なら、同様の事件はまた起きるのか。
整との遭遇にやたら偶然か尋ねる蕪木の気にするモノは。
色々、気になる事の多い回でした。
まとめ
今回は整が説得を頼まれた酒井善行と整の会話が印象に残りました。
善行は登場人物紹介でも書いたように、女はさっさと結婚して家庭に入り、家事と子育てをすればいいという考え方の持ち主です。
現在の日本では夫が働いていても、子供の教育までは資金が回らず、奥さんも働いている人が多いように思います。
専業主婦が多かった何十年も前とは、色々違っているように思います。
善行もそれは分かっているようで、裕福な家庭ならと前置きしていました。
ただ、整が言うように子育てするにも教養は大切なはずで……。
最近、子供の虐待などのニュースを目にするたび、子を持つことは出来ても、それだけで親になれるわけじゃないよなと感じます。
悲しい子が一人でも減ればいいな。
エピソードを読んでいて、そんな事を思いました。
この作品は月刊fiowers公式サイトにて第一話が無料でお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。