艦隊のシェフ 3 モーニングKC
原作:池田邦彦
作画:萩原玲二
出版社:講談社
日本海軍の最大の戦艦「大和」。
その大和の厨房で和菓子を作る事になった幸風の三等主計兵、通称Q作こと名取久蔵(なとり きゅうぞう)。
甘味屋の息子であるQ作だが、末っ子として甘やかされて育ったせいか彼はプレッシャーに弱く……。
登場人物
辻政信(つじ まさのぶ)
陸軍参謀本部作戦参謀、中佐
丸眼鏡で禿頭の男。
連合艦隊の総司令長官、山本五十六(やまもと いそろく)との会談のため、大和に乗船する。
山本五十六(やまもと いそろく)
連合艦隊司令長官
坊主頭の穏やかな雰囲気の男性。
好物は水まんじゅう。
等々力昌平(とどろき しょうへい)
駆逐艦幸風水雷長(第一分隊長)、大尉
鋭い目つきで頬骨の張った男。
米と味噌の輸送に命を懸けることに不満を漏らす。
山口努(やまぐち つとむ)
戦艦榛名(はるな)三等水兵
坊主頭でそばかすの少年。
漂流していた所を幸風に救われる。
海軍の大艦巨砲主義に不満を抱いている。
葛城(かつらぎ)
幸風乗務の水平長
荒んだ眼をしたごつごつ顔の男。
元は航空母艦「赤城」に乗っていた。
幸風に移った後も大きな艦のやり方を続けている。
ぎんばい(食べ物の不正入手、海軍の隠語)を行い陸軍への補給物資に潜ませている。
秋山(あきやま)
ガダルカナル島に侵攻した陸軍所属の軍曹
あごひげすきっ歯の男。
船から投げ出された賀津男(かつお)を拾った部隊で炊事班をしているが元々、料理担当ではなかったようだ。
深山慎一(みやま しんいち)
ガダルカナル島に侵攻した陸軍所属の兵士
優面で涙ボクロの少年。
マラリアに罹った事で後方に残される。
親子丼に憧れを持っている。
あらすじ
本土でも人気の高い海軍大将、山本五十六。
連合艦隊の司令長官であるその山本の好物は水まんじゅうだった。
しかし大和ですれ違った士官が手土産として持ち込んだ、葛粉を使った水まんじゅうは山本の言うそれとは違っていた。
その事を父親から聞いていたQ作は海原(かいばら)に話した。
そんな事のあった翌日、海原は主計長に呼び出される。
「幸風に和菓子に詳しい乗務員はいなかっただろうか?」
それを聞いた海原は実家が甘味屋のQ作を推薦。
Q作は戦艦大和の烹炊所(ほうすいじょ:厨房)で山本の好物である水まんじゅうを作る事となった。
感想
今回はプレッシャーに弱く、料理中に頭が真っ白になり失敗の多いQ作の水まんじゅう作りから始まり、輸送任務とすき焼き、海戦の変化と大艦巨砲主義、アイスクリームと最中、ドラム缶輸送とぎんばい、艦から投げ出された賀津男と困窮する陸軍兵士たち、最後に食べたい物などが描かれました。
その中でも今回は通信長の鈴木が語っていた戦艦の話と、ガダルカナル島での陸軍兵士の姿が印象に残りました。
第二次世界大戦での主力は戦艦から航空戦力へと変化していたように思います。
巨大な大砲で撃ち合う海戦は姿を消し、爆撃機による攻撃が枢軸国では主体となっていたと記憶しています。
作中、鈴木が語るように巨大な戦艦に力を注ぐのではなく、空母と戦闘機に注力していれば戦況は変わっていたかもしれません。
まぁ、巨大な生産力を持つ連合国軍に、物資の乏しい日本が勝つことは難しかったと思いますが……。
また、この巻では賀津男の目を通してガダルカナル島における陸軍の窮状も描かれました。
補給が受けられず、満足に食べる事も出来ない兵士たち。
物語として戦争物は嫌いではありませんが、やはり人々が殺し合い辛く苦しい思いをする戦争は嫌だなぁと感じました。
まとめ
この巻に収録されたお話の一つ。
補給艦「間宮」とアメリカの補給艦「アーティック」のアイスクリームと間宮最中対決。
その中で賀津男が作った、二つを組み合わせたアイスクリーム最中がとても美味しそうでした。
戦い、いがみ合うのではなくお互いの良い部分を合わせる。
やっぱり平和なのがいいなぁと、エピソードを読んでいて思いました。
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