相続探偵 6 イブニングKC
原作：西萩弓枝
漫画：幾田羊
出版社：講談社
街の人々の憩いの場となっている銭湯「笑福湯」
その笑福湯のオーナーである福田健治（ふくだ けんじ）は、自分が死んだ後の事を考え灰江（はいえ）に相談し、銭湯の常連客で不動産業者の飯山聡に不要な不動産の売却を頼む。
その不動産であるコインパーキングの調査を飯山がしたところ、土壌からヒ素が検出された。
飯山は土地の浄化を提案しつつ、三友不動産での土地の買い取りを示唆。
土地の売却に時間が掛かると聞かされた健二は、飯山達の提案に飛びつくが、そこに駆け付けた灰江はそれに待ったをかけ……。
登場人物
羽毛田香（はげた かおる）
フリーライター
坊主頭で鷲鼻の関西人。
有名人のスキャンダルを取り上げ稼いでいる。
灰江とは過去に接点があったようだ。
薮内晴天（やぶうち はれる）
東大児童青年教育学の名誉教授
黒髪眼鏡で口ひげのおじさん。
紫綬褒章を筆頭に数々の褒章を受け、テレビのコメンテーターも務めた。
死後、七人の隠し子疑惑が持ち上がる。
大久保慎一郎（おおくぼ しんいちろう）
東大法学部民法学教授
黒髪眼鏡に顎鬚のおじさん。
同僚で家族ぐるみの付き合いのあった薮内の疑惑の解明を依頼する。
郷田蜆（ごうだ しじみ）
出産直後、戸籍上の手続きを行わず養子に出された藁の上の双子
白髪でたれ目の老人。
薮内とは一卵性の双子であり、DNAも完全に一致する。
彼を引き取った郷田家は貧しく、母親の浮気により父親は荒れ、家庭内には暴力が蔓延していた。
郷田妻鹿夫（ごうだ めかぶ）
蜆の息子
金髪短髪の青年。
彼を連れて薮内に会いに行った蜆が侮辱されたことが原因で、薮内に対して強い憎しみを抱く。
島田正樹（しまだ まさき）
柔らかい雰囲気の二十歳の青年。
隠し子疑惑の記事が出た事で自分も薮内の子であると灰江の事務所を訪ねる。
あらすじ
大手不動産会社、三友不動産の社員を名乗った飯山聡（いいやま さとし）と内田美穂（うちだ みほ）。
二人は不動産会社の社員ではなく、ヒ素による土壌汚染をでっち上げ土地を安く買い叩こうとしていた詐欺師、坂入但（さかいり ただし）と不可裏忍（ふかうら しのぶ）だった。
その事を灰江に指摘された二人からは、先ほどまでの爽やかな笑みは消えていた。
坂入達は灰江に椅子を投げつけ逃亡を図るが、令子によって投げ飛ばされあえなく捕まる事となった。
そんな騒動も終わり、さすがの健治も疲れた様子を見せた。
その後、健治の孫娘、真央（まお）に向かい彼女の父親は経営者ごっこはおしまいにしろと告げた。
真央の父も母も先細りする銭湯について、真央が継ぐことには反対だった。
普通に就職して安定的な暮らしを送ってほしい。
そう願うのは大半の親なら当然の事だろう。
しかし真央はごっこ等ではなく、本気だった。
彼女は美大時代の友人と協力し、銭湯のリニューアルプランを詳細に詰めていた。
差し出された資料と真央の熱意、今後も見据えた計画を聞いて、彼女の両親も真央の夢を認めたのだった。
感想
今回は前回から引き続き、銭湯「笑福湯」のエピソードから始まり、有名な大学教授の死と彼の死後、浮上した隠し子疑惑、死後認知についてが描かれました。
今回はその中でも大学教授の薮内と彼の一卵性双生児、郷田の対比が印象に残りました。
育った環境で一卵性双生児であっても全く異なる人生を送る。
ただ、仮に環境が同じであっても、薮内と郷田は違った生き方をしたのではないかと感じました。
例えDNAが同じでも別の人間である以上、全く同じ道は歩めないと思います。
同じ顔の人間が近くにいればいるほど、それは顕著になるのではないか。
エピソードを読んでいてそんな事を思いました。
まとめ
この巻のラスト、隠し子疑惑が持ち上がった薮内に本当の隠し子がいた事が発覚します。
彼が死後認知を受けるのか。その事で世間はどんな反応を示すのか。
また、スクープ記事を狙う羽毛田の動きは。
この作品はコミックDAYSにて一部無料でお読みいただけます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
