19番目のカルテ 徳重晃の問診 6 ゼノンコミックス
著:富士屋カツヒト
医療原案:川下剛史
出版社:コアコミックス
専門の科と患者を繋ぐ医師、総合診療医の活躍を描いた作品、第六巻。
今回は滝野(たきの)と徳重(とくしげ)が訪問診療に出かける場面からスタートします。
登場人物
刈谷晋一(かりや しんいち)
T市中部地域包括支援センター所属ケアマネジャー
黒髪の男性。
徳重たちが訪問診療を行うにあたり、事前にミーティングを行った相手の一人。
三吉源兵衛
重度の腰部脊柱管狭窄症、両側変形性膝関節症を患う老人
眼鏡の老人。
刈谷がケアしている一人。
病により歩行困難となり倒れて痣を作る事もしばしば。
血糖値が高い。
半田辰(はんだ たつ)
肺がんStIV(ステージフォー)の患者
白髪白眉の老人。
五十年大工として働いてきた生粋の職人。
化学療法を一年続けたが効果が見られず、積極的治療を止め潔い死を望む。
伊藤シイナ(いとう しいな)
大手食品会社の営業
セミロングで明るい雰囲気の女性。
喘息を患っており、その持病との付き合いながら生きる事に疲れを感じている。
先輩の勧めで魚虎総合病院を訪れる。
あらすじ
訪問診療。
突発的な要請で行う「往診」と違い、通院が困難な患者に対して医師が診療計画などを立て、1~2週間に一回、定期的に自宅へ伺い診療行為を行うサービスだ。
訪問前には事前ミーティングを行い、患者・家族・主治医に加え、ケアマネジャー、訪問看護師などと話し合い、これまでに受けてきた治療の他、家族の介護力、経済的な事情など、様々な情報を収集する。
それらを基に診療計画や訪問スケジュールを立て、その後、ようやく訪問診療が開始される。
今回、徳重たちが向かったのは八十歳の老人、三吉源兵衛の自宅だった。
源兵衛は重度の腰部脊柱管狭窄症と両側変形性膝関節症を患っており、腰痛、臀部痛、下肢痛により歩行が困難となっていた。
また、その事で転倒し痣を作る事も増えているそうだ。
滝野は患者の生活が見える自宅にリアルさを感じながら、診察を開始。
その際に気になった左頬のアザについて尋ねると、トイレに行く際、転んで出来たという。
「ジュースばかり飲むからトイレが近くなるのよ」
そんな源兵衛の妻の言葉で、滝野は血糖値の測定を提案。
出た数値は230と非常に高いものだった。
感想
今回は病により歩行が困難となった老人の訪問診療のエピソードから始まり、末期がんを患った患者の終末医療(ターミナルケア)、喘息で苦しむ女性のエピソードの三つが収録されました。
その中でも終末医療のお話が印象に残りました。
現在も根治が難しいがんという病。
作中、末期の肺がんに侵された老人、半田は家族に迷惑をかける事無く、潔く死にたいと語っていました。
徳重たちは彼の願いを聞き、半田が少しでも穏やかに過ごせるよう手を尽くします。
誰にもいつかは訪れる死。
自分はその時、どんな風に過ごすのだろうか。
エピソードを読んでいてそんな事を考えました。
まとめ
次回、徳重はヤングケアラーだった若者と出会います。
彼が抱える病とは。
次巻も気になります。
この作品はゼノン編集部で一部無料でお読みいただけます。
作者の富士屋カツヒトさんのツイッターはこちら。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。