おとなりに銀河 5 アフタヌーンKC
作:雨隠ギド
出版社:講談社
漫画家兼シェアタイプのアパートの大家として幼い妹と弟を養っている久我一郎(くが いちろう)。
そんな彼の下にアシスタントとしてやって来た五色しおり(ごしき しおり)。
しおりのお尻に生えている棘を介し一旦は繋がった二人。
その繋がりが恋心を産んだのではと不安を感じた一郎だったが、棘を抜く儀式を行っても一郎はしおりを好きなままであった。
その事に安堵しつつ、二人はしおりの両親からもらった一年という時間を仕事に傾ける。
一郎は児童書の挿絵に挑戦、出版されたすしカレーカフェは重版が決定し、編集部には一郎宛てのファンレターも届いた。
一方のしおりは期待賞を取った作品がwebに掲載され、好意的な意見はあったものの、一方で話が分かりにくいなど否定的な感想も目にし、島の中で批判される事無く育った彼女は傷ついてしまう。
一郎はそんなしおりに寄り添い、自分とは違う考えの人がいるから、自分の存在も許されると語り、彼女が自分にとって世界で一番面白いと告げるのだった。
登場人物
和三盆あん(わさんぼん あん)
一郎が挿絵を担当した児童書の作者
彼女の書いたすしカレーカフェは重版が決定し、続編の制作もスタートした。
一郎は挿絵を経験したことで、原作付きの漫画への挑戦も決めた。
惚幌(ほれほろ)
しおりの憧れの漫画家の一人
しおりが次に出す漫画賞の審査員長。
しおりが思い描いた漫画の数々を見る限り、大御所少女漫画家のようだ。
あらすじ
一郎が挿絵を手掛けた児童書、すしカレーカフェはスマッシュヒットし、重版と続編の制作が決定した。
挿絵を担当した一郎にもファンレターが届き、初めての重版とファンレターに気持ちが高鳴る。
そんな一郎に担当の護国(もりくに)は原作付きの作品の短期連載を打診する。
今はなんにでも挑戦したい。
そんな気持ちを抱いていた一郎は護国の提案を受諾、自身のネームと並行して描く事を決めた。
一方、しおりは引き続き次の漫画賞に向けた作品作りを始めていた。
次回の漫画賞の審査員長は彼女が憧れを持つ漫画家、惚幌。
気合を入れたしおりだったが、描き上げたネームは32ページの作品にも関わらず、設定の解説が8ページにも及ぶものだった。
担当の有馬(ありま)からも釘を刺され、惚幌のデビュー作もシンプルな話だったと諭されたしおりは、凹み悩みながらネーム作りに挑むのだった。
感想
今回は挿絵を担当した作品の重版と続編、そして原作付きの作品の連載と順調な一郎と小さなことから描いていこうと決めたしおりから始まり、家族と共に島へ、島でしおりの好きな場所、祖母の願いから始まった棘の繋がりとしおりの考え、跡を継がない宣言と島の祭り、プロポーズなどが描かれました。
その中でも今回は、流れ星によるしおりの祖母の願いと、受け継がれた力のお話が印象に残りました。
しおりの祖母は宇宙から来た流れ星を受け止め、みんな仲良く争いのない、愛に溢れた島でお姫様になる事を望みました。
その願いを聞き入れ、流れ星は彼女に棘の力を与えました。
娘の都はその後を継ぎ、棘の力で島民とつながり、彼らに声を届け愛され暮らす道を選びました。
穏やかで誰からも愛され傷つくことのない暮らし。
それは一見理想的に思えますが、特別な力を背景にした歪んだものも感じます。
しおりはそんな島での暮らしを否定し、自分自身が批評される島外での生活を選びました。
彼女は一郎たちと暮らしたことで、棘の力によらず彼女自身を見て愛してくれる人々の想いを重視したんだろうなと読んでいて感じました。
まとめ
この巻の終盤、一郎はしおりにプロポーズをしました。
そのプロポーズを食い気味に了承したしおり。
ぎこちないながらも微笑ましい二人が今後どうなっていくのか。
次回も読むのが楽しみです。
この作品はpixivコミックにて一部無料でお読み頂けます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。