税金で買った本 5 ヤンマガKC
原作:ずいの
漫画:系山冏
出版社:講談社
図書館でのバイトしているヤンキー少年の石平紀一(いしだいら きいち)を中心に図書館の仕事のあれこれを描いた作品、第五巻。
登場人物
茉莉野(まりの)
図書館に飛ばされた女
茶髪セミロングで細身の女性。
そこそこいい大学を出て市役所に入ったが、承認欲求が強く思いつきなスタンドプレーが多かったため、問題が起きても被害の少ない図書館に飛ばされた。
非正規やバイトを見下し、自分の仕事を押し付ける。
ほーんちゃん
図書館のイメージキャラクター
眼鏡をかけたヤギの女の子。
十五年前、おはなしの会で描かれ、それ以降図書館のイメージキャラクターとして使われている。
宮辺(みやべ)
図書館職員
モサモサロングで眼鏡の女性。
利用案内の表紙に描かれたほーんちゃんの作者。
利用案内の絵は彼女が描いたが、ほーんちゃんの原案は既に退職した職員だった模様。
あらすじ
ある日のバイト中、紀一は見知らぬ女からリストの本を持ってくるように指示される。
バイトの紀一を見下し、上から目線のその女に憤りを抱きつつ、仕事だからと本を集めた紀一がその憤りを早瀬丸(はやせまる)に吐き出していると、女は彼女にも紀一が集めた本の処理を丸投げしていた。
女の名は茉莉野。
市役所から移動してきた正規職員で、非正規である早瀬丸や白井(しらい)、バイトの紀一を見下し自分の仕事を振り、空いた時間で自分勝手な図書館変革のアイデアを提案する迷惑な人間だった。
茉莉野はそんな事を役所の花形部署でも行っていたらしく、比較的被害の少ない図書館へと移動させられたようだ。
その後も承認欲求の強い茉莉野は、図書館での飲食を認めるよう館長に提案するが……。
感想
今回は冒頭、ケガをした利用者と危険運転の自転車から始まり、非正規を見下す茉莉野、本に挟まれた一万円、日焼けと人嫌い、イメージキャラクターと著作権、ルール違反の利用者への対応などが描かれました。
その中でも今回は市役所から移動してきた茉莉野のエピソードが印象に残りました。
茉莉野はあらすじに書いたように、非正規職員の仕事を見下し、自分は優秀な人間でそれに見合うクリエイティブな仕事をすべきであると考えています。
彼女はそこそこいい大学の出身で、その事が彼女の尊大な態度のベースとなっているようです。
ただ、よい大学を卒業したからといって全員が優秀であるというわけでありません。
勉強が出来ても、それが仕事が出来ることにつながるかは本人の資質に左右される事が多いように思います。
問題点を正確に分析、理解し改善点を指摘する。
それはやはり働く中で自分で感じ取り、考える事が重要な気がします。
作中、茉莉野は本を修繕する白井達の仕事を考える事無く、思いつきでアイデアを提案していました。
その行いが関わる人々にどんな影響を及ぼすのか。
想像力の欠如、数字上の合理性だけの追求。
エピソードを読んでいて、そんな言葉が浮かびました。
まとめ
今回は茉莉野の話に関連し、非正規図書館司書の給料の低さについても気になりました。
図書館は市や県など、地方自治体が運営する非営利施設です。
利益を生み出さないものに予算は出せない。
現状、予算ありきの日本では社会全体を通してそういう風潮があるように思います。
しかし、投資無くして利益は得られないとも思います。
学ぶことで得られる人々の知識の向上に図書館は貢献していると思います。
それは未来への投資に他ならないのではないでしょうか。
なんにしても、普通に働いて普通に暮らせる社会になって欲しい。
エピソードを読んでいて、そんな事を思いました。
この作品はヤンマガwebにて一部無料でお読みいただけます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。