ヘルハウンド 1 アフタヌーンKC
作:皆川亮二
出版社:講談社
戦乱の世界、一人の傭兵が武装した犬に追われていた。
孤児として育った彼は幼い兄弟を養うため、傭兵として戦場に立った。
しかし、敵の使う犬をベースにした生体兵器、ハウンドにより部隊は壊滅。
ハウンドに追われ下水道を逃げ惑ううち、彼は暗闇に浮かぶ蓮の花へと落下。
再び気が付いたそこは今まで戦っていた戦場ではなく、現代の日本だった。
登場人物
ショウ・ザンマ
傭兵の青年
茶髪黒目の日本人に似た容姿の男。
傭兵として戦いに参加したが、敵のハウンド部隊の攻撃で下水道に落下、その後、一匹のハウンドに追われるうち、巨大な蓮の花を通り抜け現代日本へとたどり着く。
元の世界ではそれほど腕が立つわけではなかったが、蓮の花を通る際、一緒に通ったハウンドと交じったことで人間離れした肉体を得る。
ヘル
強化手術を施され武装したハウンドと呼ばれる生体兵器
茶色い毛並みの大型犬。
ハウンドは武器の仕込まれたスーツを身に纏い、精神感応術(マインドレスポンスシステム)で連携し群れで戦う。
ショウと同様、巨大な蓮の花を通り抜け現代の日本へとやってきた。
その影響か精神感応術を使い、ショウと会話が可能。
小暮(こぐれ)
ショウ達に接触した植物の力を持つ者の一人
黒髪オールバックの男性。
両腕を変化させ鞭のように操る他、強い再生能力を有している。
小暮の他、彼らの仲間達は戦乱の続くショウの住む世界から、肉体を改造し平和な地球へと渡ったようだ。
東恭一(あずま きょういち)
ファイトクラブ的なモノに所属している大学生
黒髪バンダナの青年。
雰囲気の変わったグループから抜けようと、ショウの力を利用する。
北川啓治(きたがわ けいじ)
恭一の所属するグループのボス
黒髪ショートボブのマッチョマン。
元はおしゃれなグループだったようだが、漫画の影響でガチな体育会系グループに変化した。
酔拳の使い手らしい。
あらすじ
戦争で破壊された街。
そんな街で暮らす孤児の青年、ショウ・ザンマは幼い兄妹のため、傭兵部隊に志願する。
巨大な人型ロボット兵器、バトルウォーカーの援護を受けながらショウ達、歩兵は戦闘に参加。
しかし、敵が投入した生体兵器、ハウンド部隊はバトルウォーカーを破壊。
ショウ達は撤退を余儀なくされた。
しかし逃げ出したショウ達をハウンド部隊は執拗に追う。
前を走っていた仲間の首が一瞬で切り裂かれ、ショウも次の瞬間には殺されると思われた。
しかし破壊されたランドウォーカーの倒壊で、地面が崩落。
ショウは地下下水道に落下、九死に一生を得た。
だが、無数の死体の山の上で目覚めたショウに一匹のハウンドが襲い掛かる。
必死で逃げるショウは下水のパイプの中を走り抜け、やがて真っ暗な中に浮かぶ巨大な蓮の花へ向けダイブしていた。
次に気が付いた時、ショウの瞳には青空が映っていた。
感想
巨大な人型兵器が闊歩し、ボディアーマーとアサルトライフルを抱えた兵士達が戦う世界。
そんな恐らく戦争の影響で軍事技術が進んだ世界から、ひょんな事で平和な地球へと迷い込んだ元新米傭兵のショウと、身体改造を施され兵器として作られたハウンドのヘル。
一人と一匹は、ショウは家族のため、ヘルはいるべき世界に戻るため、敵同士でありながら共闘関係を結びます。
ショウとヘルが潜り抜けた巨大な蓮。
植物の力を身に宿した戦乱世界からの逃亡者たち。
ついでに有り余る若さを持て余し、喧嘩に明け暮れる若者たち。
人が簡単に死ぬ世界から来たショウ達と、喧嘩を血で血を洗う戦いと呼ぶ東達とのギャップが、読んでいてやっぱり日本は平和なのだなぁと感じました。
まとめ
肉体に植物の力を宿らせ、不死身に近い状態にすることで違う世界、地球にやってきた様子の小暮の仲間達。
一方で、生身の肉体のまま世界を渡ったショウとヘル。
小暮たちとショウ達の違いは何なのか。
蓮神と呼ばれたあの巨大な蓮の正体は。
今はギスギスしているショウとヘルは相棒になれるのか。
色々と続きが楽しみな作品です。
この作品はアフタヌーン公式サイトで第一話が無料でお読み頂けます。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。